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【2010年3月刊行】現存するグローバルな制度的秩序は著しく上正義である! ポッゲの主著待望の邦訳。

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トマス・ポッゲ【著】   立岩真也【監訳】
なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか
──世界的貧困と人権



A5判並製 432頁 本体3000円 ISBN978-4-903690-52-0 C0036
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 本書の中心的主張は次のとおりである。現存するこのグローバルな制度的秩序〔global institutional order〕、最も強い影響力がある国々によって設計されてきたこの秩序のあり方は、著しく上正義なものである。なぜなら、現代世界における生命毀搊的な貧困〔life-threathing poverty〕の大規模な持続には、この秩序がおおいに関与してしまっているからである。現存する貧困の大部分は、このグローバルな制度的秩序の小規模な諸改革によって回避可能であり、その改革の機会費用は世界の富裕層にとって微々たるものであるはずだ。そのような諸改革のいくつかは政治的に現実的であり、ほんの数年のうちに達成可能である。だがそれらの改革が実際に達成されるのは、富裕な国々にいる人々がそれを支持し要求する場合に限られるだろう。(日本語版への序文より)  



【目次】

日本語版への序文   トマス・ポッゲ

序論
    I 我々の道徳的判断についてのいくつかの警告
   II 世界の貧困を無視するための4つの安直な理由
   III 世界の貧困についての我々の黙認に関する洗練された弁明
   IV 我々の新しい世界的経済秩序は本当に貧困層に害を加えていないか?
   Ⅴ 責任と改革

第1章 人間的豊かさと普遍的正義
   1.0 序
   1.1 社会正義
   1.2 パターナリズム
   1.3 第1次的近似としての正義
   1.4 いくつかの上可欠な改善
   1.5 人権
   1.6 人権の具体化とそれを実現する責任
   1.7 結語

第2章 人権をどのように考えるべきか?
   2.0 序
   2.1 自然法から自然権へ
   2.2 自然権から人権へ
   2.3 公式の非礼
   2.4 社会的および経済的な権利に対するリバタリアンの批判
   2.5 「マニフェスト権利《としての社会的および経済的な権利に対する批判
   2.6 人権の種類に関する論争

第3章 道徳原理の抜け穴
   3.0 序
   3.1 誘因の類型
   3.2 抜け穴
   3.3 社会的諸制度
   3.4 ケース1:改築されたアパート
   3.5 ケース2:南アフリカ白人のホームランド政策
   3.6 ひとつの異論
   3.7 補論
   3.8 架空の歴史
   3.9 同等をめぐる難問
   3.10 結語

第4章 道徳普遍主義とグローバルな経済正義
   4.0 序
   4.1 道徳普遍主義
   4.2 国内経済秩序およびグローバル経済秩序に対する我々の道徳的評価
   4.3 グローバル経済秩序に関するいくつかの事実的背景
   4.4 国内経済正義の構想とグローバル経済正義の構想との対比
   4.5 道徳普遍主義とデイヴィット・ミラーの文脈主義
   4.6 文脈主義的道徳普遍主義とジョン・ロールズの道徳構想
   4.7 二重基準のせいで道徳的評価が食い違うことを合理化する
   4.8 二重基準が存在しない場合に道徳的評価が食い違うのを合理化する
   4.9 深刻な貧困の持続に対するグローバル制度の因果的役割
   4.10 結語

第5章 ナショナリズムの境界
   5.0 序
   5.1 常識的ナショナリズム:同胞の利益を優先する
   5.2 高尚なナショナリズム:同胞優先のための正義
   5.3 弁明的ナショナリズム:国民の境界は非常に重要である
   5.4 結語

第6章 民主制を達成する
   6.0 序
   6.1 成熟途上の民主制が直面する問題の構造
   6.2 クーデターによる期待報酬を縮小させる
   6.3 権威主義的簒奪者の借入れ特権を掘り崩す
   6.4 権威主義的簒奪者の自国資源への特権を掘り崩す
   6.5 結語

第7章 コスモポリタニズムと主権
   7.0 序
   7.1 人権に基づく制度的コスモポリタニズム
   7.2 国家主権という概念
   7.3 主権性を垂直分散させる主要な理由
   7.4 政治単位の形成と再形成
   7.5 結語

第8章 グローバルな制度的秩序によって生み出された貧困の根絶:グローバル資源配当への覚書
   8.0 序
   8.1 根源的上平等と我々の責任
   8.2 3つの上正義の根拠
   8.3 ある控え目な提案
   8.4 改革案の道徳的な論証
   8.5 改革案は現実主義的か?
   8.6 結語

第9章 新薬開発:貧しい人々を除外すべきか?
   9.0 序
   9.1 TRIPS合意とその余波
   9.2 有益な帰結による立論
   9.3 必須薬品の研究開発を促進するよりよい手法に向けて
   9.4 差別的な価格設定
   9.5 必須薬アクセスを拡大するための公共財戦略
   9.6 薬品供給のための完全なプル計画
   9.7 基本的な完全プル理念の詳記と実行
   9.8 裕福な市民とその代表者たちにプランを正当化する

おわりに

解説 立岩真也