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本当に、3.11「以前」と「以後」とでは何かが変わったのだろうか?

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荻野昌弘、蘭信三【編著】
3.11以前の社会学
──阪神・淡路大震災から東日本大震災へ



A5判並製   264頁   定価2800円(税別)  ISBN4-86500-024-5
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「不条理な死」に対して人はどのように向き合えばいいのか。広域システム災害のメカニズムとは何か……3.11「以前」の社会学研究のなかに3.11を読み解く知を見出し、1995と2011の二つの大震災で露呈した社会構造や社会システムの変容を明らかにする。
社会学における新たな研究対象と理論を構想し、長期にわたって続くであろう「再生」への困難な道のりを社会学者としていかに捉えていくべきかを問う、渾身の論集。
 

【目次】

序章 災害の社会学をめざして   荻野昌弘
      1 二〇一一年三月一一日東京にて
      2 災害と社会学
      3 現代社会における災害の意味
         (1)社会的老い   (2)死の物象化   (3)忘却から記憶へ
      4 他者との交流
         (1)リスクとディアボリックなもの   (2)他者の問題   (3)贈与への意志
 
第1章 彷徨える魂の行方──災害死の再定位と“過剰な”コミュニティ  金菱 清
      1 災害時に直面する不条理な肉親の死
         (1)遺族に次々襲い掛かる災害   (2)想定内の災害 
      2 災害死の文化的・社会的位置づけ
         (1)根源的な問い   (2)災害コミュニティ   (3)未曾有の災害における「ホカヒ」の位置づけ
      3 “過剰な”コミュニティの誕生──名取市閖上の箱塚桜団地の取り組み
      4 ifの未死と彷徨える魂の行方
      5 “過剰な”コミュニティの意味
         (1)被災者の、被災者による、被災者のための被災地ツアー   (2)自治会主催の慰霊祭
         (3)自治会主催の居酒屋 (4)不祀りの魂を引き受ける   (5)災害コミュニティにおけるパラダイム転換

第2章 広域システム災害──阪神から東北、そして首都・東京へ  山下祐介
      1 はじまりとしての阪神・淡路大震災
      2 東日本大震災を問い直す
         (1)広域システム災害 (2)人間の面から見た広域の社会システム──家族・行政・経済
         (3)広域システムの中の支援とボランティア
      3 典型として福島第一原発事故
         (1)周辺としての東北   (2)二〇一三年三月末の警戒区域の解除をめぐって 
         (3)メディア・科学・政治
      4 広域システム災害の中の人間とコミュニティ──東京への中継地点としての東日本大震災
         (1)人間とシステム   (2)次の事故/大災害 順序の問題   (3)社会学から倫理学へ

第3章 災害ボランティア──助け合いの新たな仕組みの可能性と課題  菅 磨志保
      1 災害とボランティア
         (1)1・17から3・11へ   (2)本章の構成 
      2 「災害ボランティア」という社会的領域の形成
         (1)1・17前後の変化   (2)「防災」と「市民活動」の改革に見る災害ボランティア
      3 災害ボランティア活動の論理
         (1)時空を超えた新しい「助け合い」   (2)実践からの論理の構築──復興支援の現場から
      4 「災害ボランティア」の制度化──活動の社会的仕組みの形成と展開
         (1)「緊急社会システム」下で形成される活動体制   (2)災害ボランティアによる救援活動の展開
         (3)1・17から一〇年目以降の新たな課題   (4)新たな課題への取り組み   (5)小括
      5 3・11以降の災害ボランティア」
         (1)従来の活動体制の限界   (2)限界を乗り越える試み   (3)まとめにかえて

コラム 普通の固有な人としての「災害弱者」  三井さよ
      1 はじめに
      2 「災害弱者」でもあり。ひとりの夫でもあり
         (1)避難所での生活が持つ意味の違い   (2)人の固有性 
      3 「取り残される」過程をいかに押しとどめるか
         (1)「取り残される」人びと   (2)「結果」のまえに
      4 「災害弱者」であると同時にひとりの人として
      5 地域生活支援の制度化の中で
         (1)支援活動の制度化との齟齬   (2)「隙間の発見」/〈隙間と混在〉
      6 おわりに

第4章 多文化共生──1・17で芽ばえた意識は3・11で根づくのか  吉富志津代
      1 はじめに──「多文化共生」という言葉
      2 阪神・淡路大震災前後の外国人と支援活動
         (1)大震災前の神戸   (2)大震災発生後一年 
      3 阪神・淡路大震災からの復興のまちづくり
      4 東日本大震災の被災地とのつながり
         (1)直後からの情報提供   (2)復興に向けた活動へ
      5 「多文化共生」が示唆すること

第5章 東日本大震災と外国人  金 明秀
      1 はじめに
      2 「ムラの国際結婚」
         (1)被災地域の外国人   (2)「ムラの国際結婚」をめぐる先行研究
      3 マイノリティをめぐる二つの物語
         (1)序列のロジックと序列化に抵抗するロジック   (2)差異化のロジックと差異化に抵抗するロジック
         (3)矛盾する二つの抵抗のロジック   (4)「ムラの国際結婚」をめぐる二つの抵抗のロジック
      4 石巻市における三つの調査
         (1)震災前の外国籍住民調査   (2)震災後の外国籍住民調査   (3)震災後の日本籍住民調査   (4)まとめ
      5 「東北の現実は違う」という言説
         (1)「被害者」としての東北   (2)災害ユートピアと外国籍住民
      6 議論

コラム 災害と女性の人権──阪神・淡路大震災の経験は活かされたのか?  正井礼子
      1 阪神・淡路大震災で浮き彫りになった女性問題
         (1)DV被害について   (2)性暴力被害について
      2 避難所が抱える問題
         (1)避難所運営と女性の参画   (2)性別役割の強化──女性の健康が悪化   (3)トイレ問題
         (4)プライバシー問題   (5)女性や子どもへの性暴力防止対策   (6)乳幼児問題
      3 宮城・岩手・福島の被災地の問題
         (1)何が変わって、何が変わらないのか   (2)ふくしまの女性との交流
      4 おわりに
         (1)復興に向けて女性の参画を   (2)防災は日常から始まる

第6章 災害の記憶──写真・保存・時間  今井信雄
      1 はじめに
      2 写真の経験と総体としての事実
      3 光と陰の「記憶」
      4 モノとしての写真
      5 総体としての「事実」の循環する構造
      6 時間的な振幅──「あのとき」の「まえ」と「あと」
      7 おわりに

第7章 リスク社会と社会学の問い──「フクシマ」という問題  三上剛史
      1 リスク社会論の構図
      2 「ディアボリックなもの」/「シンボリックなもの」
         (1)阪神・淡路大震災と東日本大震災   (2)「ディアボリックなもの」
      3 リスク論のシンボリック・パラダイム
         (1)シンボリック・パラダイム   (2)シンボリズムと連帯
      4 ディアボリック・パラダイム
         (1)リスク社会とディアボリズム   (2)ディアボリック・パラダイムと「信頼」
         (3)3・11のリスクと「危険」
      5 ディアボリズムと監視社会
      6 まとめ

結びにかえて  蘭 信三・荻野昌弘
     1 はじめに
         (1)衝撃としての〈3・11〉   (2)劇場型災害
     2 〈3・11以前〉の社会学──阪神・淡路大震災から東日本大震災へ
         (1)シンポジウム開催まで   (2)〈3・11以前〉という問題設定
         (3)大震災の経験──阪神・淡路大震災から東日本大震災へ
     3 本書の視点──高度広域システム社会とリスク社会、不条理な災害死
         (1)本書の論点   (2)不条理な災害死の供養と記憶   (3)高度広域システム社会とリスク社会
         (4)多文化共生をめぐる「認識の対立」
     4 おわりに──そして何も変わらなかったのか