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【2008年5月15日刊行】福祉国家が危機を迎えている後期近代において、社会福祉・社会
保障の実践と保障に対していかなる理論的分析が有効なのか──ギデンズ「再帰性」概念を
参照軸として、理論社会学の立場から〈新しい時代の社会福祉・社会保障〉を考察する
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畑本裕介(山口学芸大学教育学部専任講師)【著】
再帰性と社会福祉・社会保障
──〈生〉と福祉国家の空白化

四六判上製 288頁 ISBN 978-4-903690-20-9 2835円
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サッチャー・レーガンから小泉改革に至る新自由主義的政策下において現代福祉国家は大きな変容を迫られ、社会福祉・社会保障の制度分析をめぐるさまざまな言説もまたその有効性が問われている。本書は、現代社会保障・社会福祉を考える際の理論的基盤となるアンソニー・ギデンズの「再帰性」概念を理論を基軸に、貧困概念やリスク社会、中産階級問題、アイデンティティ論などを考察し、単なる新自由主義批判を超えた〈生〉のあり方を参照しつつ、新たな社会福祉・社会保障の方向性を提示することを目指す。

【目次】

序 章 問題の設定
  一 新自由「主義」時代の自立・自助
  二 自己決定をめぐる問い
  三 本書の構成と用語について


第一章 再帰性以前の社会理論
  一 はじめに
  二 貧困が中心となる時代的背景
  三 窮乏化論と労働価値説
  四 高度成長期以降の貧困論
   1 「新しい貧困」/2 江口の「層としての貧困」論/3 消費社会の出現と新たな貧困者像
  五 貧困概念の陥穽
   1 江口貧困論の陥穽 /2 九〇年代以降における貧困概念の帰結/3 ワーキング・プアについて

第二章 再帰性論の定義と展開

  一 はじめに
  二 再帰性概念の定義
   1 再帰性にまつわる諸概念の区分 /2 反省と再帰性──嗜癖を事例として /3 再帰性と「反射」
  三 理論的構成(1)──エージェンシ
  四 理論的構成(2)──構造化理論
   1 社会理論と創発特性 /2 ギデンズによるエージェンシへの注目 /3 エージェンシのダイナミズムの
    説明:(1)「制約」の「資源」への読み替え /4 エージェンシのダイナミズムの説明:(2)「意図」と
   「行為の結果」の区別 /5 エージェンシのダイナミズムの説明:(3)「再帰性」のダイナミズムの詳述
   
6 構造化理論の各要素
  五 再帰性の展開とは──近代=暴走する世界
  六 再帰性とグローバリゼーション
   1 「懐疑論者」と「ラディカルズ」の立場 /2 マルチチュードと再帰性
  七 小括


第三章 再帰性と社会福祉・社会保障の現在 I ─マクロの視点
  一 はじめに
  二 リスク社会の到来
   1 リスク社会とは /2 リスク社会と伝統的福祉国家の消滅 /3 リスク社会論への批判──不安定性の
    構造化社会としての現代
  三 中産階級問題
   1 中産階級問題とは /2 再帰性の高まりと新自由「主義」は異なるものである /
   3 新自由「主義」的社会政策 /4 我が国のこれから──中産階級問題の高まりへ?
  四 メッセージの政治へ──中産階級問題への取り組み
   1 メッセージの政治とは /2 メッセージの政治の言葉(1)──「コミュニティ」 /
   3 メッセージの政治の言葉(2)──「労働」
  五 小括
  《第三の道についてのノート──コミュニティ・労働の視点より》


第四章 再帰性と社会福祉の現在 II ──ミクロの視点
  一 はじめに
  二 自己アイデンティティの社会的条件
  三 自己アイデンティティ概念への批判
   1 アイデンティティ概念の失効──バトラーの批判 /2 再帰性ではなく反射であるという批判
   ──「動物化」する現代社会
  四 再帰性の理論から見たミクロの状況の一事例──札幌母子家庭の母餓死事件の概要
   1 事件の概要 / 2 水島解釈と久田解釈 /3 解釈が対立する社会
  五 再帰性の高まりと貧困をめぐる争い
  六 小括


第五章 社会福祉と社会保障の将来設計──残酷さの回避
  一 これまでのまとめ
  二 国家などの制度的安定性は前提にできない
   1 福祉国家が抱える根本的な不安定性 /2 かつてのイギリスと似る日本の国民年金制度の危機
  三 社会福祉・社会保障の問題は残酷さの回避に特化していく
   1 福祉国家論の現状維持は可能か /2 「残酷さの回避」という戦略
  四 どのようなプロセスなのか

 参考文献
 おわりに