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2006年11月 アーカイブ

2006年11月09日

大阪へいってきた*1

というタイトルで先週の土曜日にアップするはずだったのですが、広告を出稿することもあって、都内の書店さんを駆けずり回って営業して疲れ果て、日曜には読売新聞に大きく本の紹介記事が載って、電話がひっきりなしの状態となり(大きな所帯ならいざしらず、普段は2人でやっているので、少し電話が鳴り始めるとすぐパンクなのです)、今日まで延びてしまいました。

某学会への参加をかねて、会社を立ち上げてからはじめて関西巡業をしてきたのは、もう、10日以上も前なのですが、このタイトルで書こうと決めていたので、このままいきます。学会で聞いた報告はわずか4本ほどだったのですが、うちバトラー絡みが2本、その会場の熱気たるや! お前になにがわかるという突っ込みは無視し、影響力のすごさに驚いたという感想のみを記して、先にいきます。

今回の関西行きの主たる目的は、久しぶりで呑みましょう(でも、原稿もなるべく早くね)だったのですが、書店営業ももちろんして来ました。きちんと、現場を回るのはいつ以来という感じでしたので、特に京都河原町あたりの書店風景が変わったのには、遅まきながら本当に驚きました。

書店といえば、エキナカ、エキチカやロードサイドのメガショップということになってしまうのでしょうか。ネット書店や、メガショップあってこその専門書出版なので、たいそうなことはいえないし、アクセスの自由度という意味ではとてもいいことだと思うのですが、ターミナルを降りて、本屋さんだけではない街を歩きながら、好みにあった本屋さんにも立ち寄り、色々と考え事をしたりするという楽しみも一方であっていいのになと、3年前だか前に鳥取にいったときにのぞいた、T堂さんの佇まいを思い出しながら、少し考えてしまいました。

→と書いてはみたものの、この2、3日の電話で、版元としての生活書院を認知してくれているのは、今のところやはり、ある程度以上の大きさを持った書店さんだけということを思い知らされました。販売会社の取引名簿は毎年春の発行ということで、生活書院はまだ載っておらず、読者の方が生活書院のこの本がほしいと尋ねても、口座をもっていることを知らずに「この出版社は書店に本を流していない」と断ってしまう書店さんがかなりあったようなのです。立ち上げたばかりの小さな出版社のはじめての新刊で、しかも配本もなかった、規模の小さなお店からすれば当然といえば当然のことなのですが、書店の皆様、覚えていただけるようにがんばりますので、どうかよろしくお願いします。

そんなこんなで、2泊3日の関西行きは終了しましたが、編集会議が急遽入って、この23日にはまた、出かけていくことになりました。前回、いけなかった神戸にも伺うつもりです。お会いするだろう皆様、どうぞよろしゅうに!

PS:これまで、関西での朝飯はたいがいMそばの〈きざみうどん〉と決めていたのですが、今回は2食とも新梅田食堂街の角にある、Oという立ち呑み屋さんで食べました、丼飯に味噌汁と、お新香だけがついて、あとは丼の上にかけるものが、納豆、たまご、とろろの三つのうちどれかというバリエーションがあるだけ。目一杯並んでいるおかずを一つもとらず、朝からがんがん呑んでいるおっちゃんたちの前に並んだビール瓶の誘惑にも負けずに、これだけで貫徹すれば300円。お奨めです(わたしは2食ともとろろ)!

*解説するとまったくおもしろくなくなりますが、もちろん友部さんを引いているのであります。

2006年11月20日

「はやく ゆっくり」という言葉

先週は、ある企画の打ち合わせで筑波大学に出かけ、週末には別の企画のご提案が電話でありました。いずれも、知的障害や高次脳機能障害の当事者、援助者に向けて書かれた生活支援・家族支援に関わる翻訳企画です。いずれ、詳細もご報告しますが、生活書院としては発足時から掲げているテーマなので是非取り組んでいきたいと思います。

今回の企画が二つとも当てはまるというわけではないのですが、こうした企画を考えるとき、いつも思うことの一つに、「どこまで届いているのか」ということがあります。こういう形になっていればアクセスできる、例えば文字の級数を大きくする、ルビをつける、仮名にひらく、本自体を大判にする、色遣いで認知がしやすくなる、音や映像媒体を使うなどなど、当事者からの意思表明や告知があれば、最大限実現する努力をすればいい。ただ、重度の知的障害や、高次脳機能障害当事者で「こうなっていればアクセスしやすいから、こうしろ」という意思表示や、コミュニケーション自体に困難さをかかえている場合、当事者に向けた出版という営みはどこまでの意味を持っているのだろうということを、やはり思わざるを得ないのです。

とはいえ、出来る限りやれることはやってみる。話はずれるかもしれませんが、ほうっておけないこと、例えば自立支援法下で入所施設にいまもいる障害当事者が、食費や光熱費といった生活の根幹に関わる部分で、悲鳴をあげているのなら、入所の是非についての議論は当然あるけれど、そこはまず何とかする、もちろん他のこともやる。

などと考えていると、あまりに有名な言葉で、私などが援用するとお叱りを受けるかもしれませんが、「はやく ゆっくり」という言葉はとても力を与えてくれます。

教育基本法改正問題に関わって、16日の朝日新聞紙上で金子奨さんが「『他者との違いが関心を呼び起こす』という働きこそ教室の基本」なのに、基本法改正はここをつぶしてしまうと書いていましたが、一つの評価基準で全てをはかり管理支配するという風潮が世の中全体を覆いつくそうとしていて、ことは教育の問題だけではないなと思います。

今週はまた関西に出かけます。何人かの方とお会いし、もちろん書店にも伺います。独立するときの念願の一つだった企画も、実現にむけて動き出しそうです。それはまた、戻ってからのご報告ということで。

PS:15日の毎日新聞、18日の東京新聞で柏女霊峰さんの『子ども家庭福祉・保育のあたらしい世界』が紹介されました。是非、ご一読を。


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