ろう文化宣言 再び
少しご無沙汰してしまいました。お許し下さい。
20日、木村晴美さんの『日本手話とろう文化』が出来てきました。
まさに、取替えのきかない「この人とこの本」を作るという出版人冥利に尽きる企画ですので感慨もひとしおです。前回のブログと同じ内容になるかもしれませんが、どうしても読んでいただきたい本です。
もう一度、書きます。
あの「ろう文化宣言」から12年、デフコミュニティからのあらためての問いかけといえる、この単著は、
スタイルこそメルマガ形式の読みやすいものになっていますが、その内容は決してやさしいものではありません。聴者にとって、文字通り耳の痛い話が満載で、こんな誤解や偏見のもとでろう者と接していたのかと、いまさらながらに気づかされます。日本手話と日本語対応手話との間の深い谷や、口話法強制の歴史を語る木村さんの筆は時に激しい怒りを伴って読むものの襟を正させます。ただ同時にそれでも絶望せず、未来を信じる、とりわけデフコミュニティの子どもたちに、自分と同じ思いはさせたくないという、木村さんのポジティヴさが読者の胸をうたずにはいません。
ときあたかも、初めて日本手話での教育が保障されるバイリンガルろう教育の学校が来年の開校にむけて現実のものになろうとしています。木村さんがおっしゃるように、「自文化中心主義に陥らない」道を考えるためにも必読の本です。27日ぐらいから書店店頭に並ぶと思います。是非お読み下さい。
近刊予定からもう一つ。6月の9〜10日、広島でピープルファーストの全国大会が開催されますが、そこまでに間に合わせるべく『知的障害者が入所施設ではなく地域で暮らすための本』の編集作業を進めています。筆者のピープルファースト東久留米の皆さんが本当にものすごく忙しい中、原稿を間に合わせてくださいました。わたしにとっても、知的障害当事者のきょうだいとして、身体ではなく知的障害者の自立生活が、現在の「自立支援法」制度下という厳しい状況の中でどう実現されるのかという問題は、とても大事に考えたい事柄です。この本を作らせていただくことが出来るのも本当に大きな喜びです。広島には自分で本を担いで売りに行くつもりです。お会いするだろう皆さんどうかよろしくお願いいたします。
日々いろんなことがあり、極小出版社としては大変な毎日ではありますが、作りたい本を作れる喜びを糧として、また明日も仕事をしていこうと思います。
今年大学に入った子どもが住むアパートから50メーターのところに、拳銃をもった男が立てこもるという事件がようやく収束した翌日、遠方からの友人と食事をしたあと、一人の事務所で書いた久しぶりのご報告でした。
PS:ときどき、無性に豚の内臓が食べたくなることがあります。翌日必ずといっていいほど、激しく胃袋がやられますが、ガツとハツモトの塩焼きを食べたいという欲求に今、強烈に突き動かされています。