復刊の作業をしている中で、寺田純一さんや磯部真教さん、矢田龍司さんとご連絡をとったことは、このあいだ書いた。その矢田さんから「とてもいい本になった」とお電話があり、献本させていただいたものとは別に10冊の注文をいただいた。ありがたい。当時の青い芝のことは、もっともっと文献が集められ、書き物や資料のかたちになって残されるべきだとあらためて感じたし、今後もそうした仕事に関わることが出来ればと思う。
ただ、『母よ!殺すな』は、単に名著が復刊されたというのではなく、今このとき、生存が理不尽に脅かされようとしているという意味では、横塚さんの生きた時代とまったく変わっていない、むしろ、真綿で首を締めるような、建前のやさしさの裏に狡猾な手口が覗くような、今こそ、とてもアクチュアルな本として読まれるべきだ、と考えている。
色んな場所に本を持っていって売っているが、あわせて原監督=疾走プロの『さようならCP』も、預かって売っている。5000円近いのだが結構売れる。まず視覚に訴えることで講義や授業に使おうとする方も多いようだ。そのことへの意見は色々だとは思うけれど。今回、『母よ!殺すな』に、はじめて『さようならCP』のシナリオを再録したのは、単純な理由で、旧すずさわ版で「さようならCP上映討論集」がかなりのボリュームを占めているのに、映画がどのようなものなのか、あまり触れられていないと思ったからだ。そんなこんなで、久しぶりにプレスされた『さようならCP』のDVDが広まることにも、少しは貢献できている気がする。
10月になった。世の中はさわやかな陽気の中、三連休だが、当方、今日は夜行の高速バスで北東北方面へ移動。明日早朝に着いて、すぐに集会で本の販売、とんぼ返りで翌日は事務所で打ち合わせである。気分はHobo(そんなにかっこよくないか)、出版稼業、食べていくのは大変だが、西へ東への忙しさがそれを忘れさせてくれたりもする……