会社を立ち上げて2年目が暮れようとしている。
今年に入って、15点の本を出した。
書き手の皆さんに恵まれて、船出したばかりの版元としては身に余る評価もいただいた。
あらためて書き手、売り手、読み手のすべての皆さんに感謝したい。
今月、川口有美子さんが、『母よ!殺すな』を書評で取り上げてくれて、
『(Tに)声をかけると「もう買う人が買ってしまったからね」と不景気な返事が戻ってくる』
と書いておられる。
思わず笑ってしまったが、そう答えたのは本当のことで、なかなか本は簡単に売れるものではない。
でも、「昔出ていたいい本」で終わらせるわけにはいかない。
今、読まれるべき本なのだということを、何度でも、どこででも、言い続けていこうと思う。
パキスタンで人が死んでいる。「指導者」も死んだが、他にたくさんの人が死んでいる。
日本で、彼の国や特定の宗教への、謂れなき偏見や恐怖心が煽り立てられないことを、祈るのみだ。
そして、あまりに当たり前のことだが、やはり理不尽なことで、人が死にゆくのは良くない。
日本でも人は理不尽に死んでいる。それは横塚さんが生きた時代と変わらない。
生活保護が切られて殺されるのは良くない。
「尊厳」だとかで、死が法制化されるのは良くない。
誰もが、まっとうに生きられる、生き続けられる道を、しつこく、何とかして、探さなくてはならない。
今日も明日も、次の年も、
本を作る仕事を通して、そういう当たり前のことを考え続けていくしかない。
良いお年を!