« 2008年01月 | メイン | 2008年03月 »

2008年02月 アーカイブ

2008年02月08日

西国旅日記 第一夜

東都の喧騒と憂いを忘れんと欲し西国に来たりて第一夜、某所で初めて喰らう美味し○肉……とまれ、西方に出張ってお仕事です。最近出た雑誌で山田真さんがおっしゃっている、「99人には効かないけれども一人の人には効いちゃったり…そういう意味では飲み具合ということももっと考えていい」、もちろん前後の文脈があってのことだけれど、本当にそうだと思います。Aが間違っているとして、違う(そして、たぶんよりましだと考えて)Bをオルタナティヴとして置いたとたん、Bもまた何の異議申し立ても受け付けない硬直した構図を見せてしまったりする。とても気持ちよく、とてもやりがちな、だからこそそこへ陥ってはいないかと、もっと行きつ戻りつ考えた方がいいのではないかと、少なくとも疑ってみる。そんなことの大事さを、安宿に戻って更に流しこんだ発泡酒の泡とともに思いつつ、明日へ続くの巻ダァーッ(OS氏風に)!

ps:昨日金曜発売の『週間読書人』で、好井裕明さんが、小社刊、倉石一郎さん著の『差別と日常の経験社会学』の書評を寄せてくださっています。とても素敵な評をいただきました。是非皆さん、好井先生の評をお読み下さい。そして何より、倉石さんの、「ライフストーリー論がもつ、相互行為への期待や楽天性の批判」を、彼が「不器用なまっすぐさ」で紡いだ「本」で読み込んでいただければと思います。

2008年02月09日

西国旅日記 第二夜

とある研究発表会参加のあと、打ち上げ、2次会、3次会で、今、帰着。
三重の会場で『手話と法律・裁判ハンドブック』売り上げ好調とのメールが届いている。
ありがたい。

今日発売の図書新聞で岡原正幸さんが、『母よ!殺すな』の書評を寄せてくださっている。
岡原さん自身の歴史にひきつけて、とても素敵な、私には面映いぐらいの評を書いていただいている。
是非、皆さんお読み下さい。
岡原さん、ありがとうございました。

頭も体も満腹状態。寝ます。ということで、明日に続くの巻ダーッ!

2008年02月10日

西国旅日記 第三夜

やや東に移動して打ち合わせ。考える、変なことは変だと真っ当に言う、きちんとした仕事をたくさんする。そういう人がちゃんといる。版元は版元として、もっともっとやれることをやらねばと思う。三泊目は大津、日曜ということもあるのだろうが、ほとんど飲食店が開いていない。駅前のスーパーで食い物を仕入れて宿へ。テレビをつけるとNHKスペシャルのリハの番組の冒頭、長嶋茂雄さんが出ている。なんだか少し……。明日は京都の書店営業の予定、店も人もだいぶん変わったけれど、いい街にいい本屋さんがまだまだあるところだ。時間があれば、プー横丁(祝日はやってたかしらん)に寄って、ここで買うのが一番ふさわしそうなH&A・トラウムの未発表ライヴ盤なんかと思うけれど、ちょっと贅沢か。てなわけで明日は三泊四日の出張も終えて東へ。この旅でお会いしお話し、ご相談したこと、いずれ形になると思います(しなくては)。乞う、ご期待。

PS:三重の全通研で『手話と法律・裁判ハンドブック』完売とのメールが入っている。Mさん、Kさんそして皆さん、ありがとうございました。感謝!

2008年02月26日

流行歌

「きみはきみのことが好きでありますように」というサビの加川良の歌*1)は好きなのだが、
感動したい人が集まっているような場所で、「きみはきみのままでいいんだよ」「ちがっていてみんないいんだよ」といったことを(「障害は個性」―いろいろに議論はあるにせよ―と当事者が立てて切り開いてきたものが、なにか当事者不在のきれいごと、感動ネタにズラされて使われている―「いいんだよ」って誰が言っているのかという問題でもある)、あんまりたくさん聞かされると、なんだか金子みすゞじゃあるまいしと、ひねくれものの私は思ってしまうのでした。

自閉の子どもの素晴らしい能力や、中途障害の人の受容と共感といった話はいいのだけれど、しだいに、障害をもった人がいることで他の人々が生かされているとか、神様が作った存在にはみんな意味があるなんていう話になってくると、それって社会的に作られた不利や差別ということを捨象して、問題を棚上げしてしまうことにかえって加担してるのでは、少し転んだらなんたら宗教の宿痾論と変わらないところに行ってしまうのではと(後世の人を救うために「障害」をもって生まれたなんていう話など)、少し文句の一つや二つは言いたくなり、でも一方で、当事者も親の人たちもこんなに集まって、上映された映画に涙し感動し、映画の主人公で講演もされた養護教員のかたの本も飛ぶように売れている現実に*2)、「ああ、これでは私たちが作りたい売りたいような本はなかなかに厳しいわけだ」と妙に納得してしまったりもした次第。

「流行歌」はそっちなのでありましょう。けれども、「そればかりではないでしょう」と言わなくてはいけないと思います。
そんなふうに奉られて怒っている人たちだって(たぶん)たくさんいるし、「美しい心」の人たちだけが物事を語るのはやはりどうなのだろうと思うし、「愛と正義を否定する」ってことはやはり大事なものを含んでいるだろうと……。

*1) 去年だったか、NHKBSの「フォークの達人」なる番組で、良さんが、ハンバートハンバートの佐野さんをゲストに呼んで、やや照れくさそうに一緒にやったバージョンがなかなか良かったのです。

*2) タイトルに数字が入っている映画と言えば、わかる人にはわかるのだそうで……。私がなぜ見に行くことになったかは……ちょっと言えない。

About 2008年02月

2008年02月にブログ「生活書院ブログ〜今、大事なことを考えているんだ」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2008年01月です。

次のアーカイブは2008年03月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Creative Commons License
このブログは、次のライセンスで保護されています。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.