星加さん授賞式&明晴学園開校式
先月のブログで書いた、二つの嬉しい催しのご報告です。
3月28日、星加良司さんの損保ジャパン記念財団賞授賞式が行なわれました。
わたしたち版元も感謝状をいただきました。
会場でお話を伺った、選考委員でもある岩田正美さんが、(社会福祉学の賞に社会学の星加さんの仕事が選ばれたことについて)岐路にたつ社会福祉学にとって、対症療法的にことにあたる事より、しっかりとした〈理論〉がたつことが大事であって、といったニュアンスのことを、おっしゃってくださったのが、とてもありがたく、版元としてもあらためて喜びをかみ締めました。
わたしの版元としてのお礼の言葉は、緊張のあまりグダグダになってしまいましたが、星加さんの受賞スピーチは、簡潔かつ的確に、受賞作『障害とは何か』が目指したもの、そして社会学の役割とは何かを述べられ、素晴らしいものでした。この夏には、あらためて受賞記念講演会が開催されるとのこと、是非多くのかたが足を運んでくださればと思います。
昨日4月9日は明晴学園の開校式。事前に出た朝日新聞の記事(3/31夕刊)や、当日9日夜のTBSのニュースでも大きく紹介されたので、ご存知の方も多いと思いますが、わたしも参加させていただいたその開校式、少し変わっていて、それは素敵なものでした。学校の開校式といえば、普通なら延々と祝辞が続き、子ども達はぐったり疲れるというのが通り相場ですが、明晴学園のそれは子ども達が主役で、祝辞は本当に僅か、壇上で子ども達みんなが紹介され、寸劇も披露、最後は子ども達のつくったアーチの中を参加者がくぐって送られました。
途中紹介された、大阪市立聾学校校長だった高橋潔さんの娘さんであり、ご自身も手話通訳者として生き抜いてきた川渕依子さんが寄せられたお祝いの言葉―それは、お父さんの潔さんはじめ、手話を守ろうと奮闘しながらも、口話教育の強要の中、無念の思いで死んでいった先人への追悼と、だからこそいっそう強い明晴学園開校の喜びに満ちたもの―には、涙する方も多くいました。
とにかく、お仕着せではない、素晴らしい式でした。これからがまさに本番ですが、あの子ども達、スタッフの皆さんならきっと大丈夫です。わたしなりに出来ること(そう多くはありませんが)で、これからも応援していきたいと思います。
というわけで、自分たちの仕事に戻れば、今日は今月末刊行予定の、飯野由里子さんの単著『レズビアンである〈わたしたち〉のストーリー』の校了日。何とか無事に終えて、このブログを書いているところです。飯野さんのこの本、排除され、分断を余儀なくされながらも、それを越えてつながっていこうとする意思が、またはその可能性の模索が、あるいはそれでも持ってしまった限界性などが、丁寧に掬い取られ、検討されています。刊行が近づいたらまた詳しくご紹介しようと思います。こうご期待!