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2008年06月 アーカイブ

2008年06月06日

ピープルの大会でUを偲ぶのこと

5月31日〜6月1日、お台場でピープルファーストの全国大会があった。
初日の全体会は、野外・潮風公園に舞台が組まれ、多くの屋台が出て、お祭り気分、
晴れていれば海風心地よく、芝生に皆ですわったり寝転んだりだったのだが、朝からの雨。
海からの風は冷たく肌を打つ……。
と書くと、「あいにくだったね」となるのだろうが、そうでもないのだな。
誰しも覚えがあるように、野外のイベントの雨天決行って、逆に気合が入るし、
「やったぜ」の達成感が、忘れ得ない情景とともに、あとあとまで結構残ってくれるのだ。
目黒の「柿のたね」のかたも「かえって楽しかった」とおっしゃっていた。

その「柿のたね」というと、どうしてもUのことを思い出さずにはいられない。逝って、もう11年になる。
亡くなる3日前に病院に見舞い、腫れた体を見て何も言えず、暑い葬儀の日、見送って遺骨が運ばれたのが、Uが支援者として関わっていた「柿のたね」だった。
学生の頃、なぜかわたしの部屋に転がり込んでいた時期があったU。お互いにあまり色々なことが上手くいっていないころで、建設的な雰囲気とは程遠く、無為に酒ばかり呑んでいたような気がする。
そのUが、なぜ知的障害者の自立生活支援に関わるようになったのか、聞けば教えてくださるのだろうが、Uが亡くなってから年に一度「柿のたね」が中心で行なわれる追悼の席に出かけても、ただ呑むばかりで、しっかり伺ったことはない。

わたしは少し回り道をして、「Uの死」を媒介としない場でも、「柿のたね」の人たちと、こうして出会うようになった。それでも、Uが生きていて、雨の潮風公園で一緒に発泡酒でも呑めたらなと、やはり思ったりする。スピリチュアルなどというものから程遠いところにいるので、「○○はいつもそばにいる」なんてことは全く思わない。死は死でしかない。だけれども、Uのことは覚えていて、今ならどんなことをやりたいだろうかと、想像することはできる。それで、「まあまあ、俺は俺でやるか」と思ったりする。そんなものだ。


*ピープルの大会が終わった日の深夜、神奈川の綾瀬でグループホームが焼け、3人の方が亡くなった。室津滋樹さんがコメントしているように、これが自立生活への足かせとなる議論に使われては確かにまずいのだが、うーん……。

2008年06月20日

未明のファミレスで

先だっての土曜の深夜というか日曜の未明、荒木町でしこたま飲んだ後、タクシー代ももったいない故、事務所近くのファミレスで始発を待つことになった……。

新宿や池袋・澁谷といった大ターミナル駅近くなら大勢の人で賑わうのだろうが、終電もとうになくなった午前2時半過ぎの四谷は、タクシーで帰るか、朝まで呑めるであろう荒木町に居座るかなのだろう、一人で入ったファミレスJは閑散としている。

今更コーヒーという気にもなれず、安いワインのハーフボトルをちびちびやりながら、夜が白んでくるのを待つ。いただき物の杉田俊介さんの新刊、『無能力批評』をめくってみたりするのだが、アルコールが体中に回っていて、読むことに対してすでに力が無いのである。昼からずっと編集会議、夜はわたしのスピーチがとんでもなくスベッテしまったパーティ(パーティ自体はとても素敵なものだったが、年を追うごとに人前で話すとき心臓がバクバクする度合いが増している。9月には割りと長めの話を人前でしなくてはいけないのに大丈夫かわたしは)、そして2次会と、心身ともに疲れきっているのに、まだ酒だけは入る。一人で明け方のファミレスにいるなんていつ以来だろうと思う。と思って回りを見渡すと、ほとんどの客が単独者だ。世間はあまり金を持っていそうでなく、風采のあがらない(その場のわたしのような)単独者に冷たい。何か事件があると、とんでもなく広い範囲に話を一般化して貼り付け、「変な人」を排除しにかかる。「親の顔が見てみたい」などと、自分が言われたらどう思うだろうかというようなことを、誰もかれもがしたり顔で言い出す。それとこれとは別の話ということすらわからなくなってヒステリックになる。何が怖いといってそういった風潮が一番怖い。批判は人の口車に乗ってやってはならない、仄聞や憶測や声高な者からの強要や、そういったもので自分の言葉を固めてはいけない。自分で聞いて自分で読んで自分で考えて、たとえそれが稚拙な段階にとどまったとしても、その態度は持ち続け、稚拙だという反論があればまたそれを引き受けて考えていくしかない。

という具合に、なんの脈略もなくまとまりもなく、話がおそろしくあちらこちらに飛ぶのだが、酔いがてっぺんまで回った頭で色んなことを考える。

まあ、でも、「みんながそう言っているからきっとそうなんだ、面倒くさいからそれでいいや」は、やはりあまりよろしくないと思う。第一、少しは「そうかな」と思って考えたほうが楽しいわけだし……。

さあ、始発で帰って少し寝たら、ゲラ読んで手を入れて、愛しの著者にご送付だーっつ!


PS:なんとかゲラは無事送り出すことが出来た、その日曜の夜。酒は……やっぱり呑んだ。


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