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2008年07月 アーカイブ

2008年07月12日

某月某日

お考えの色々な部分は措くとして、内田百痢阿川弘之といった方々のような(「断然欠席」なんて言ってみたいものだ)達意の文章で、日記やら随筆やらが書けたら、それは楽しいのだろうけれど、所詮素人、ブログ一つ書くのもママならない。企画のネタ出しをホイホイするわけにもいかず、人の悪口を垂れ流すわけにももっといかず、きれいごとだけではつまらんと思いつつも、ついつい可もなく不可もなしという線に落ち着いてしまう。ホメラレタクテケナサレタクナイのである。

というわけで、今回は某月某日で少しだけ

某月某日 久しぶりで関西へ2泊3日の出張。初日の夜はやや南におりて一番高いつまみでも500円というお店で打ち合わせ。大好きなサッポロ赤星ラガーあり。鱈子が切れていたことだけが少し残念。2日目は北へ上って研究会。東京でよく会うメンツとなぜかこちらでもご一緒。ずっと楽しみに書き物を待っている方と久しぶりで会えたので、あらためてきっちりお願いする。宴席2次会でイケソウナキカクのご提案あり。最終日の朝、いつものように、新梅田食堂街のはずれにある立ち呑み屋の朝定食を食べたのだが、トロロ飯と味噌汁だけの300円定食がなくなっていた。本当に世知辛い世の中になったものだ。これまた残念。

某月某日 首都圏もだいぶ東のとある町で打ち合わせ。それは療育や支援やケアといった枠組みでのお話だったのだが、それを生んだ思想なり対象への向き合い方なり、そういったものから離れて、あるいは、時と場合と文脈の違いも無視して、「技法」が一人歩きして、神格化してしまう。すでにその時、どういう思想のもとに育まれた技法なのか、などということは問われない。そんなことに拘泥せずに「自由」に使いまわせばいいということになり、したがって、テクニックだけを競う技術者が跋扈する。当人はそうと任じていなくても、そうなる。そのことに自覚的であるかどうか。それだけでもかなり進む道は違ってくるのだが…。そんなお話だった。なんだか違うところでもありそうなお話ではある。

某月某日 大学からの友人と終日遊ぶ。仕事もなにもまったく関係のない古くからの友人となると3、4人といったところだろうか。年に一度会うかどうかといったところだが、思えば長い付き合いだ。よく、誰も朋友、彼も朋友といって友人の数の多さを自慢する人がいるが、そんな人に限って相手はそうも思っていないような気がする。だいたい、そんなにたくさん付き合う人がいて疲れないのだろうかと思う。淋しくないかなんていって数を多く恃むような価値観を押し付けるから、そこで潰される人が出てくるのである。そんな価値意識と一緒にいる必要はない。
 いや、遊んだ話だった。本当は4人でやるテーブルゲームのはずだったのだが、なんと一人が日を間違えていてドタキャン。こうなるとなかなか知恵がないが、場所が新宿だったので、自分の好みを最優先して末広亭を提案したらのってくれた。番組は知らずに行ったのだが、中入り後膝代わり前が寿輔で、主任が鯉昇と、Kさんが一緒だったら舌なめずりしそうなメンバーである。しかも、夜の部の出のはずだった鶴光が昼に出てきてくれて大熱演というおまけつき(夜、お座敷でもついたのだろうか)。友人の一人は、はじめての寄席だったが、寿輔におおはまりで、とても喜んでくれた。


さて、今月は、会社を立ち上げて早々から動いてきた企画、『障害者の権利条約と日本』が、いよいよ公刊されます。実効性をもったものとしてどう生かしていくか、書き手も中身も望むべき最良のものになっていると思います。こうご期待!

2008年07月24日

思い出せなかった名前―木村栄文さん

先だって東京の西のほうで、在りし日の横塚晃一さんの映像を拝見する機会があった。
はからずも、その日は横塚さんの命日―恥ずかしながらその場で教えていただいて、「あっ」と思ったのだが―その日があらかじめ選ばれたのではなく、偶然そうなったとのことで、あまりそういうことは信じないのだが、「巡りあわせ」みたいなことも、少しは思った。
 
作られたのがプロのドキュメンタリー作家の方で、色々なことを教えていただいた。小川紳介さんも亡くなった、つい先ごろ、土本典昭さんも逝ってしまったなどと、お話しているうち、私が「あの人は」とお聞きしようと思って、出てこなかった名前があった。70年代、役者を使って演出してドキュメンタリーを作った方で、ドキュメンタリーといえば対象をしつこく忠実においかけてカメラを回し続けるものという、私のような素人の感覚を、叩き壊してくれた。今なら、『さようならCP』の原一男さんであれ、小川さんであれ、土本さんであれ、当然演出があり、どの作品であれ作家性が出てくるというのは、当たり前だし、それがないドキュメンタリーは逆に意味がないということは分かるのだが、なにせ、プロの役者が出てきて、というのはやはりインパクトがあった。

そのお名前は、木村栄文さん。それはもう有名な方なのだが、名前って出てこないときは、どうしたって出てこないのである。家に戻って資料を見て、ようやく思い出し、胸のつかえがおりた。
2年ほど前、NHKのETV特集でパーキンソン病になられた後も、執念で撮ろうとする姿が放映されていたが、今はどうされているのだろうか。

作品はたくさんある。『苦海浄土』、『記者ありき』、『祭りばやしが聞こえる』……。九州まで行って、RKB毎日のライブラリーでなら見ることのできる作品も僅かながらあるようだが、それにしても、木村さんのものに限らず、残され、見られるべき「映像」が本当にぞんざいに扱われている気がする。

別に、ジブリの映画が悪いとは言わないが、あんなに金かけて、みんなの頭の中を「ポニョポニョ」いわせれば、そりゃあヒットするのは当たり前で(鈴木プロデューサーってすごいと思う)、少しはこっちに金が回らないものかと、やっぱり思ってしまうのである。

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