良い支援?あるいは永山のハーレーダヴィッドソン*
この人(たち)にと思い、お願いして書いてもらい、想いかなってできあがった本で、何度も原稿もゲラも読んでいるのに、本となって手許に届いて、家に帰る地下鉄の車中で読んで、少し泣いた。
その『良い支援?』の寺本晃久さんの「まえがき」にこうある。
「ぼくたちは、既存の知的障害者福祉(つまりハコを前提とすること)ではなく、自立生活運動の延長にある支援・介助とも重なり/けれども必ずしも同じではないような『何か』を打ち立てられないかと考えています」
本当にそうだよなーと、あらためて色々と思い、感じ、ツーンときたのである。
この本は、その「何か」をひたすら(考えるだけにとどまらず)現実のものにしようとしてきた人たちの、「やってきたこと」「やっていること」そして「わからないこと」のくるおしくも真摯な営みと思索の記録なのだ。
そして、この本は、一方で本当のこと、言うべきことをすっきりとはっきりと言っている。やはり寺本さんの「あとがき」から。
「自立できないのは、『できること』が過度に本人に求められているからだ。まわりに支援があること、行政や家族の側面的・財政的支援があること。それらをつなぐ人・支援があることが重要だ。ただそれだけだ。その上で、様々な支援技法が役に立つことがある、という順番であって、その逆ではない」
「…ぼくらの目の前にいる人たちとこれからも歩いていきたい、でも一緒に歩いていくためにどうすればいいんだろうかということを、『だらだらしつつ、でも緊張感を持ちながら』考え続けていきたい」と締めくくられているこの本、知的・自閉の支援のことを書いて、何か大事な普遍にたどり着いていると思います。必ず読んでください!
*筆者の一人、岡部耕典さん(ちなみに『良い支援?』のカバー画は岡部さんの息子さん、亮佑さんの作品です)が、何度も編集会議をもたせていただいた永山の「たこの木クラブ」に、一度だけハーレーに乗って現われたというだけなのだが、なかなか格好良かったのである(後日「ハーレーは単気筒でズーンと響くいい音ですね」と言ったら、心の底から軽蔑されてしまった…ハーレーは2ストロークなのでした→恥の上塗りです。またまた、ご指摘→「ハーレーは、単気筒じゃないけど「2サイクル」でもなくて「4サイクルのV2気筒」です…」。ストロークと気筒をごっちゃにしちゃうなんて、ああ、一生許してもらえないかも…)。それにしても、「たこの木」にはよく通わせていただいた。2007年の6月、広島で寺本さんがやろうと言ってくださってから、一年半。感無量と言ってこれほどの本はない。