餅代やら何やらで暇も金もそうそうない年末であることだし、最近は本など仕事に関係するもの以外は極力無駄遣いは控えているのだが、『志ん朝初出し』なるCD-BOXが出るものだからついつい買ってしまった。
「火焔太鼓」が三席も入っているし、ケースの写真は使い回しだし、京須さんの解説は年々つまらなくなってくるし……と、文句の一つや二つつけたくもなるのだが、二朝会の録音も入っているとか言われると、やっぱり弱い。志ん朝師のものだけはどうにも我慢がきかないのである。
忙しいので、編年で並んだCDの全12DISCの内まだDISC1と2しか聴いていないが、このDISC1・2、1967〜69年の録音ということは、志ん朝師まだ30になったかならないかなのに、後年三百人劇場の独演会で名を馳せる時と比べてもさして遜色がないのは、やはり流石としか言いようがない。口跡など却って四十代よりもゆったりしているのでは、と思ったりもするぐらいだ。今の、例えば若いという意味では、三三がいくら達者だといっても比べ物にならない(と思う)。今回のCD-BOXで演題そのものをはじめて聴くというのは、「犬の災難」「ちきり伊勢屋」ぐらいだが、TBSラジオが音源(今も続いている「らんまんラジオ寄席」――昨日13日の放送では、市馬が気持よさそうに歌入り「掛取り」を演っていた――など)なので、同じTBS系でも落語研究会などでしゃっちこばっている時より、ずっとリラックスした志ん朝師が聴けるのではと、DISC3以降も楽しみにしている。
やっぱり後は大須演芸場の音源だなー。何とかならんもんかしら……