去年12月のブログを見てみたら、やはり29日に「年の終わりに四たび」というタイトルで書いていた。もう1年が過ぎ、会社を立ち上げて5回目の年の瀬である。今年は17点の新刊を送り出し、7点8度の重版をさせていただいた。どうなのだろうと自分でも思う。良くなるはずがないといわれているこの業界で、しぶとく生き抜いてきたというところなのだろうか。少しも楽になった感じはない。電子出版だといわれる。まだよくわかっていないところがある。ただそれしかないと浮かれて踊りだすのも、そんなのはといって王道は死なずみたいに閉じこもるのもいずれも違っているだろうなとは思う。
たいがい、これが絶対に良いものなどといって批判を一切認めない、あるいは後ろにまわって潰して歩くなどという言い方ややり方は疑ってかかったほうが良いと思っている。そしてそれはもちろん「右」のほうにばかりあることではない。自分たちの中に、「良いこと」とされている/きたことの内側にもそれは潜んでいて、そうとはしらずと人を支配していたりということだってある。そんな当たり前のことにまずはきちんと向き合ってみようというつもりで本を出してきた(と思いたい)し、これからもそうでありたい。
今年の年初に刊行しすでに3刷、計6000部を発行した『発達障害チェックシートできました』。そのタイトルをこうと決定するとき、著者のすぎむらさんも不安がられていたし、「え、生活書院もかよ」という声も実際に聞いた。そのたびに「スクリーニングの本じゃありませんよ」「真っ当なことを真っ当に書いたからこそ、これまでにない本になっていますよ」といってきた。もちろんタイトルで勘違いして買った方もいるだろう。でも「こんな本を待っていた」という言葉は聞きこそすれ、「だまされた」などという苦情は一度もない。むしろ、タイトルで思い込んではなから遠ざける人たちにこそ読んで欲しかったのだが、それはどうなんだろうか、届ききれていないのかもしれない。
来年もまた、ひとつひとつの生の生きづらさ、生き難さにできるだけ寄り添っている、そして何かですべてが語れるなどと教条的には決してなっていない、そんな本たちを世に送り出していけたらいいなと思っています。
年明け2月には2年越しで書いていただいてきた、渡邉琢さんの『介助者たちは、どう生きていくのか』が、いよいよ形になります。「介助・介護でめしを食うこと」について、様々議論はありますが、まずは手にとって読まれるべき本になると思います。
そして、3月にはこれも2年越しで準備してきた小社にとってはとても大事なプロジェクトの、始まりの形が世に出ます。
来る年もまた様々応援いただければありがたく……それでは、みなさま、良い年をお迎え下さい