このブログでもご案内した、『支援』創刊記念のトークセッションが、先月23日早稲田大学で開催されました。セッションは、たこの木クラブの岩橋誠治さんと、日本自立生活センター、かりん燈の渡邉琢さん。参加者は『支援』編集委員のうちの5名も含めて、34名でした。のちにMLなどでこのトークセッションの感想や、岩橋さんも書かれている『良い支援?』、渡邉さんの『介助者たちは、どう生きていくのか』を読んでのコメントなどを寄せてくださった、つるたまさひでさんや、斉藤龍一郎さんなど、久しぶりにお目にかかる先輩たちも参加してくださったり、関西からも5名のご参加があるなど、セッション後の懇親会も含め内容充実の会になったと思います。
岩橋さんと、渡邉さん、ともに私が本を作る過程で長いこと通いつめ、今でもしょっちゅうお会いしてはさまざまなことを教えていただいたり、ただただ呑んだくれたりという、尊敬するお二人ですが、「支援」に取り組むことになった契機も、もちろん世代の差もあってその歴史も、そして取り組んでいる場所・地域・人たちが違うわけですからその考え方も、おのずと異なるものになります。うまくかみ合うだろうか、ぐだぐだになったらどうしようと、この二人で行きましょうと強く推した私も、進行役の三井さん、岡部さんにお願いして、流れのメモを作っていただいたり、当日の朝は少し不安になったりもしました(岩橋さん、渡邉さん、スミマセン)。
が、結果的には心配無用、杞憂でした。始まってみれば、どんどんお二人の会話形式で話が進み、流れを作るといった作業もほとんど不要だったように思います。
何より、お二人それぞれが「支援者」として云々以前に、そもそもどういうことを思い考えて生きてきた人なのか、そこがまず先にあって、その上で何らかの契機があり「支援」の現場に入っていき、今現在までの歴史がある。そこにかかわる、お二人それぞれの冒頭やや長めのお話には、ある程度付き合いのあるつもりだった私にとっても、ああ!そうなのか、というところがたくさんあり、それが現在のお二人の姿と連なり重なってくることで得心できたりする部分がありました。この段階でセッションの成功をほぼ確信しました。
お二人とも、自分の中に血肉化できていない「知識」を物知り顔で紹介したりなどということからは、遠いところにいて、無責任な物言いは自制される人です。話されることは、あくまで自分たちの具体的な取り組みや関わりに即してですが、だからこそ、私たちが疑いも持たずに了解しているような事柄でさえ、ときには逆説的な言い方も含めて、ガラガラとその前提を壊したりもしてくれます。「当事者主体と支援者」「介助で金を稼ぐ」などなど、気になる主題もとりあげつつ、「支援」という枠組みにとどまらない、示唆に富んだセッションになりました。あらためて、岩橋さん、渡邉さんに感謝いたします。
都合がつかず、当日お二人のお話が聞けずに残念がっておられる皆さんの声も届いていますが、このセッションは録音を起こし、手を入れて原稿化し、来年3月刊行予定の『支援』第2号に掲載されます。
かなり先に感じられるかもしれませんが、震災直前の3月10日に校了し、原発の爆発があって田舎から両親が一時避難してきているさなかの18日に創刊号の見本があがってきた、この雑誌『支援』も、すでに第2号の原稿依頼に入ろうとしています。
お二人のトークセッションは、創刊号から第2号へのもっともふさわしい橋渡しになっています。
どうぞ、楽しみにお待ちくださいますように。