知的障害者の投票について考えることは
「みんなにとっての投票」を考えること
知的障害者と「わかりやすい選挙」
新しい権利保障としての「狛江モデル」構築の軌跡
知的障害者向けの投票支援を権利保障のひとつとして位置付け、選挙情報提供の先進的取り組み「狛江モデル」の実践が権利保障についての従来の考え方をどのように広げうるのかを、ユニバーサルな分かりやすい選挙への貢献の可能性も含め考察する。
【目次】
まえがき
第1部 障害者の権利保障としての投票支援を考える
序章 本書の目的と先行研究・実践の概観
0-0 本章の目的
0-1 研究の目的
0-2 先行研究
0-2-1 権利保障(権利擁護)と投票支援
0-2-2 情報保障、情報の分かりやすさ
0-2-3 投票能力
0-2-4 先行研究についての小括と考察
0-3 本書の構成
第1章 権利獲得運動の歴史と選挙権
1-0 本章の目的
1-1 公民権運動における参政権
1-2 フェミニズム運動における参政権
1-3 障害者運動との対比
第2章 日本における障害者の選挙権行使をめぐるこれまでの課題
2-0 本章の目的
2-1 選挙権拡大
2-2 投票方法の変化
2-2-1 代理投票
2-2-2 記号式投票
2-2-3 電子投票
2-2-4 在宅投票
2-2-5 病院・施設における不在者投票
2-3 障害者の参政権をめぐる問題
2-3-1 代理投票のトラブル
2-3-2 施設入所者の投票トラブル・不正
2-3-3 不十分な情報
第3章 海外の状況
3-0 本章の目的
3-1 投票方法
3-2 分かりやすい選挙情報
3-2-1 各国の対応
3-2-2 ドイツの事例
3-3 小括と浮かび上がる課題
第2部 先進地・狛江市の実践から考える
第4章 狛江市における投票支援の経緯
4-0 本章の目的
4-1 狛江市の概要
4-2 調査方法
4-3 狛江市の取り組み
4-3-1 これまでの流れ
4-3-2 着手の背景
4-3-3 第一回わかりやすい演説会に至る経過
4-3-4 演説会の内容・結果
4-4 明らかになった課題
4-4-1 時間的制約
4-4-2 代理演説の是非
4-4-3 演説テーマ
4-4-4 「泡沫候補」の扱い
4-4-5 自治体の関与のあり方
4-5 小括
第5章 日本の投票支援のルーツ
5-0 本章の目的
5-1 国内の投票支援の動き
5-1-1 一九七〇年代の状況
5-1-2 滝乃川学園の体系的支援
5-2 調査方法
5-3 結果
5-3-1 当時の学園
5-3-2 個人的体験
5-3-3 組合結成の意味
5-3-4 社会/国際潮流との連動
5-3-5 「普通の暮らし」意識
5-4 小括
第6章 重度知的障害者の投票
6-0 本章の目的
6-1 重度施設での模擬投票
6-2 調査方法①
6-2-1 対象
6-2-2 内容
6-2-3 倫理的配慮
6-3 結果①
6-3-1 保護者の回答
6-3-2 スタッフの回答
6-4 調査方法②
6-4-1 内容及び対象
6-4-2 倫理的配慮
6-5 結果②
6-5-1 保護者からの評価
6-5-2 保護者の意見の扱い
6-6 小括と課題
第7章 重度知的障害者の投票、親の聴き取りから考える
7-0 本章の目的
7-1 調査
7-1-1 調査方法
7-1-2 倫理的配慮
7-2 調査結果
7-2-1 娘の判断能力、理解力
7-2-2 自分の政治意識、娘の投票に対する思い
7-2-3 社会参加への願望と挫折
7-2-4 障害受容
7-2-5 娘の意思表示の変化、意思の尊重
7-2-6 障害者のなかの差別
7-2-7 社会参加としての投票
7-3 小括と考察
第8章 軽度知的障害者の投票
8-0 本章の目的
8-1 調査方法
8-2 調査結果
8-2-1 地域の課題、地域に望むこと
8-2-2 ニュースへの関心
8-2-3 政治・選挙
8-2-4 投票支援のニーズ
8-3 小括と考察
章9章 選挙情報の分かりやすさとは
9-0 本章の目的
9-1 これまでの「分かりやすさ」の実践
9-2 「選挙広報誌」作成の経緯
9-3 文章表現上の分かりやすさ
9-3-1 調査方法
9-3-2 調査結果
9-4 分かりやすい判断材料の提供
9-4-1 調査方法(議員の意識)
9-4-2 調査結果
9-4-3 広報誌の設問をめぐる議論
9-4-4 ボートマッチの企画
9-5 小括と考察
第10章 自治体側の評価
10-0 本章の目的
10-1 調査方法
10-2 調査結果
10-2-1 社会参加としての投票
10-2-2 重度知的障害者の投票
10-2-3 分かりやすい選挙の展望
10-3 小括
第11章 結論
11-0 本章の目的
11-1 本研究のまとめ
11-2 本研究の意義と今後の課題
注
あとがき
文献