アメリカの運動部活動はどのような仕組みで運営されているのか

お金から見るアメリカの運動部活動

活動を支える人と仕組み

谷口輝世子【著】

[定価]   本体1,800円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-172-3
[判型]A5判並製
[頁数]248頁

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アメリカの運動部活動はどのような仕組みで運営されているのか。その歴史と現状を、教員を含む運動部指導者の労働の観点と運営にかかる資金という観点から詳細にレポート。日本で部活動の地域展開、子どものスポーツ活動に携わる人たちにも大きなヒントを与える、必携の書!

【目次】


はじめに
 
第1章 アメリカの初等・中等教育と運動部の概要
 学区教育委員会
 アメリカの中学校、高校、大学と運動部
 アメリカの課外活動
 運動部(アスレチック)
 文化部
 クラブ
 校内運動部
 スクール・スポンサードという概念
 シーズン制について
 ホームとアウェーでの試合
 高校運動部の組織モデルとアスレチックディレクター
 アメリカの運動部の歴史

第2章 アメリカの教員は運動部指導を引き受けなければならないか
 運動部指導は教員だけだった
 報復人事も?
 法廷での争い
 指導の対価
 団体協約、労使契約へ
 財源は学区教育委員会
 補助的な金額
 外部指導者の導入
 コーチ資格の整備
 アスレチックディレクターとコーチ人事

第3章 課外活動の指導報酬はいくらか
 メリーランド州モンゴメリー郡公立学区の団体協約
 その他の学区の労使協定
 指導者による組合
 運動部のコーチ職を巡る労働仲裁
 教員、指導者の労働市場
 コーチの働き方──マット・マートンへのインタビュー
 一九七〇年代から二〇〇〇年代の働き方と運動部の変化──デュークス・クナットソンへのインタビュー

第4章 学区教育予算の獲得と教育的価値
 NFHSの主張
 学校外のスポーツ活動における費用対効果とは
 運動部の教育効果についての反論
 学区教育予算の運動部への分配割合は適切か
 学区の教育予算と豪華なスポーツ施設
 閉校の危機に瀕して、運動部活動停止へ
 アメリカ人が考える隠れた運動部の教育効果

第5章 お金がないときは廃部に
 生徒たちが廃部を阻止したケース
 自ら財源を調達して、廃部を乗り切ったケース
 どの運動部を削減するか
 涙ぐましい節約
 運動部の新規立ち上げ

第6章 運動部参加費の徴収
 外部からの資金調達
 どのくらいの学校が参加費を徴収しているのか
 参加費徴収を巡る議論
 義務教育課程の公立校における参加費
 州法による規定
 格差問題
 学区間格差
 参加費の金額
 参加費の使い道、管理法
 私が保護者として経験した運動部の参加費徴収について
 参加費の廃止

第7章 ブースタークラブを通じた寄付と資金集め
 ブースタークラブとは何か
 運営の形態
 学校でひとつのブースタークラブ
 うまくいっているブースタークラブの特徴
 資金調達の実態
 ブースタークラブによるメンバーシップ販売とは
 企業との提携による物品販売
 ファンドレイジングのイベントは運動部だけではない
 代理販売は運動部の商業化か
 ブースタークラブと不正
 セルフファンディングとは何か

第8章 スポンサー契約
 高校運動部のスポンサー企業の特徴
 スポンサー契約と広告の実態
 統計でみるアメリカの運動部と広告
 スポンサー契約における制限事項の明記

第9章 入場券収入
 観客動員増を狙う
 見せ物か財源か。入場料をめぐる議論

第10章 格差縮小を目指す放課後活動と新しい学校運動部
 慈善団体による支援
 学校を拠点とした地域展開

第11章 運動部を地域へ出さず、外部の人とお金を取り込んだアメリカ
 外部からのお金を調達すると運動部の価値が損なわれるか

初出一覧
おわりに