ろう者と聴者の協働によって作り上げる手話通訳のかたち
ろう通訳ってなに?
新しい手話通訳のかたち
ろう者の言語やろう者に関する言語外知識を共有しているろう者が通訳を担うことは、通訳利用者が社会参加する際に大きな力になります。ろう者が手話通訳を担うことの意義を理解し、資格化への課題を乗り越えることで、ろう者と聴者が一緒に通訳するという形態が実現します。
通訳利用者の選択肢が豊かになることを願い、本書を発行することにしました。
【目次】
まえがき 木村晴美
第1章 ろう通訳者ってなに? 聞こえないのに通訳できるの?
1 ろう通訳者ってなに? 宮澤典子
(1)手話通訳の歴史とろう通訳の必要性
(2)聞こえないのに通訳できるの?
2 ろう通訳者が必要な人と場面 江原こう平
(1)わが国の手話通訳者の状況
(2)通訳行為の場面
(3)手話通訳者の養成とコミュニティ通訳
(4)ろう通訳者が必要な人
3 世界のろう通訳とろう通訳者 森 亜美
(1)ろう通訳養成カリキュラム(アメリカ)
(2)アメリカのろう通訳者について
(3)オーストラリアのろう通訳について
(4)ヨーロッパのろう通訳の状況
4 司法通訳とろう通訳者――アメリカの例を参考に 森 亜美
(1)NCIEC概況報告書
(2)カリフォルニア州における法廷でのろう通訳者利用について
(3)ろう者が被告である裁判のケース(アメリカ)
(4)これからの日本の司法関係現場に望むこと
コラム1 ろう通訳はいつから始まったのか 蓮池通子
第2章 ろう通訳者の使い方
1 対面の場合 宮澤典子
(1)診察、面談
(2)講演会、学会
(3)会見
(4)裁判
(5)子どもに対する通訳
2 オンラインの場合 蓮池通子
(1)通訳実施場所と手話通訳者の位置関係
(2)手話通訳チーム内での通訳方法について
(3)その他の注意点
(4)まとめ
3 動画の場合 小林信恵
(1)はじめに
(2)動画にろう通訳を付ける
4 テレビの場合 蓮池通子
(1)番組の放送・収録形態と通訳方法
(2)テレビでの通訳――メリット・デメリット
コラム2 英国エリザベス女王陛下の国葬とアクセシビリティ 蓮池通子
第3章 ろう通訳者の資格化について
1 海外における資格試験 森 亜美
(1)アメリカの例
(2)オーストラリアの例
2 日本における課題 木村晴美
(1)手話通訳者は耳の聞こえる人限定
(2)ろう者は受講できない
(3)ろう者は受験できない
(4)ろう者が手話通訳者として活躍するための制度づくり
コラム3 デタラメな手話通訳と誤解された通訳者の正体(米国の大雪緊急会見) 蓮池通子
第4章 世界のろう通訳者、ろう通訳者と協働する聴通訳者たち
1 ナイジェル・ハワード(インタビュアー:寺澤英弥)
(1)自己紹介
(2)デフリンピックと私
(3)どうしてろう通訳者になったのか?
(4)医療通訳の経験
(5)ろう通訳者として大事にしていること
(6)印象に残っている通訳は
(7)フィーダーとの相性など
(8)ろう通訳のこれから
2 クリストファー・ストーン(インタビュアー:武田太一)
(1)手話との出会い
(2)ろう通訳者との協働
(3)ろう者が通訳することのメリット
(4)聴通訳者はパートナー
(5)ろう通訳者と息を合わせるには
(6)ろう通訳者から学んだことコストのこと
(7)WASLIとろう通訳、将来への期待
(8)おわりに
3 池上 真――自身もろう者である専門職から見たろう通訳者の姿
(取材・インタビュアー:鈴木美彩、編集協力:蓮池通子)
(1)ホープ・ハウスの通訳現場
(2)ジェームズ・スミスさんソレン・スカンロンさんのチーム
(3)スミスさんのこれまでの経歴
(4)デビッド・カウアンさんとジョン・シャイブさんのチーム
(5)プロフェッショナルとして
(6)専門職たる通訳者の姿勢とは?
(7)池上さんが経験したろう通訳者との現場
(8)ホープ・ハウスでの体制づくりに奔走
(9)ろう通訳の存在意義
(10)ろう通訳者について
(11)おわりに
あとがき 木村晴美