なぜ、「悲願の法制化」が、すべての人々に歓迎されるものではないのか?

手話施策推進法 その可能性と課題

立法プロセス・実施施策・手話通訳の未来

金澤貴之、二神麗子【著】

[定価]   本体2,800円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-199-0
[判型]A5判並製
[頁数]296頁

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手話施策推進法がなぜこのような形で成立し、どのような政治的・制度的背景を経て今日に至ったのか。そして、この法律がどのように教育・福祉・文化・技術の領域を横断し、聾者の生活と社会の構造を変えていくのか。その全貌を実証的に描き出し、「悲願達成」の内実を問い直す。

【目次】


序論 手話の法制化という「悲願達成」は何を意味するのか

第1部 手話施策推進法をめぐるポリティックス

第1章 「手話」をめぐる言説の構築
 第1節 「聾者」の社会的構成
 第2節 「90%ルール」がもたらすもの
 第3節 日本手話と日本語の混じりやすさ
 第4節 「手話の分類」再考
 第5節 「日本手話」を巡る政治性
 第6節 手話は1つか2つか
 第7節 結語

第2章 「ろう文化」再考
 第1節 はじめに
 第2節 「文化」についての理論枠組み
 第3節 日本における「ろう文化」の言説と制度形成
 第4節 概念分析:「ろう」「ろう者」「ろう文化」はいかに定義されうるか
 第5節 手話という言語実践が生み出す文化
 第6節 領域性・政治性・文化モデルの刷新
 第7節 制度設計への含意:手話施策推進法の実装を実践の設計として読み替える
 第8節 インクルーシブ教育時代のコミュニティ継承
 第9節 結語

第3章 法制化の誤解を解く
 第1節 法制化をめぐる社会的誤解
 第2節 条文の解釈をめぐる批判
 第3節 「『ろう者』『ろう文化』が定義されていない」という批判
 第4節 結語
第4章 第1部のまとめ

第2部 手話施策推進法の制度と実装

第1章 手話施策推進法の立法化プロセス
 第1節 本会議における法案採決の意味するもの
 第2節 条例運動から法制化への流れ
 第3節 議連による団体ヒアリングと要望の集約
 第4節 与党内の承認プロセス
 第5節 他の党での承認プロセス
 第6節 法案提出と国会審議における議論
 第7節 当事者団体の影響力と議会過程の特性
 第8節 法案策定における行政府側の関与・調整
 第9節 結語

第2章 教育施策の可能性と限界
 第1節 手話施策推進法が教育行政にもたらす課題
 第2節 第11条に基づく手話習得支援の実装:手話の多様性と教育施策の接点
 第3節 手話習得プログラムの開発の重要性
 第4節 結語

第3章 大学における手話を必要とする者への支援の実現に向けて
 第1節 大学における「学生」への手話支援の課題と設計
 第2節 手話を必要とする教員・研究者支援への視座
 第3節 結語
第4章 第2部のまとめ

第3部 通訳・アクセスをめぐる現代的課題

第1章 「遠隔時代」に求められる手話通訳の制度的課題
 第1節 はじめに
 第2節 通訳一般における文化翻訳の二層構造
 第3節 言語獲得に困難を抱える聴覚障害者と通訳の限界
 第4節 言語理解の構造と専門性の基盤
 第5節 手話通訳の専門性の多様性と制度設計
 第6節 手話通訳制度の構造的課題と地域依存性
 第7節 通訳と対人援助の分業および制度的再設計
 第8節 通訳制度の公共的再設計―教育・財源・倫理の枠組み
 第9節 遠隔通訳時代における制度的課題
 第10節 通訳の再定義:「寄り添い」と「そのまま」を超えて
 第11節 結語
第2章 電話リレーサービスをめぐる論点
 第1節 電話リレーサービスの手話通訳オペレータの困難さ
 第2節 電話リレーサービスに利用者が求めるもの
 第3節 結語
第3章 災害時支援の再設計
 第1節 聴覚障害者の災害時支援における制度的課題
 第2節 能登半島地震の事例に見る専門的支援のあり方
 第3節 結語
第4章 第3部のまとめ

結論

初出一覧
文献表