「困っている」人としての、「妊婦健診」を受けない彼女たち
子どもを育てない親、親が育てない子ども
妊婦健診を受けなかった母親と子どもへの支援
医療現場に様々な問題をもたらす「困った」 人としてとらえられてきた、「妊婦健診未受診妊産婦」。
しかし、医療関係者にとって「困った」人である彼女たちが生きてきた(いる) 関係状況からは、
妊婦健診を十分に受けないで出産に至らざるを得なかった「困っている」人としての姿が見えてくる!
彼女たちと彼女たちから生まれた子どもへの支援の道筋を実態調査とその分析考察から導き出す必読の書。
【目次】
はじめに
第Ⅰ部 妊婦健診を受けなかった母親たち──妊婦健診未受診妊産婦実態調査から
第1章 妊婦健診未受診妊産婦の実態調査 井上寿美・笹倉千佳弘
1 実態調査実施の背景
2 調査対象者と調査協力者
3 聞き取り調査の進め方
4 データの整理と分析
第2章 六分類の妊婦健診未受験妊産婦 井上寿美・笹倉千佳弘
1 自己保身が優先されている妊娠・出産
2 特に意味づけられていない妊娠・出産
3 経済状況に合っていない妊娠・出産
4 計略がめぐらされている妊娠・出産
5 自己都合が優先されている妊娠・出産
6 障害に影響されている妊娠・出産
第3章 妊婦健診未受診妊産婦という存在が語っていること 井上寿美・笹倉千佳弘
1 価値観からの逸脱による「助けられていない」関係状況
2 心の交流欠如による「応答されていない」関係状況
3 見えにくさによる「気づかれていない」関係状況
4 同調行動の拒否による「受け入れられない」関係状況
5 関係の継続困難による「眼差されていない」関係状況
6 余裕のなさによる「護られていない」関係状況
第4章 妊婦健診未受診妊産婦にかかわる姿勢 井上寿美・笹倉千佳弘
1 未受診妊産婦の生きづらさ
2 生きづらさから解き放たれることの難しさ
3 生きづらさから解き放たれるために
第5章 妊婦健診未受診妊産婦をめぐる「子どもの最善の利益」 井上寿美・笹倉千佳弘
1 虐待された子どもと虐待される子ども
2 子どもを虐待から護るために
第Ⅱ部 子どもを育てない親への支援 親が育てない子どもへの支援
第6章 被虐待児とその家族への支援 津崎哲郎
1 児童虐待問題の社会的認知と実態
2 児童虐待問題の背景
3 児童虐待防止法制定に至る前の実務事情と介入的ソーシャルワーク
4 児童相談所と市町村体制の援助枠組み
5 要保護児童対策地域協議会とは
6 要保護児童対策地域協議会での支援の実際
7 安全確認のスピード化と支援の逆機能
8 早期支援への志向
9 行方不明世帯に対する安全確認
10 要保護児童対策地域協議会と民間との協働
11 介入から支援へのシフト変更
12 新しい地域支援を目指して
第7章 社会的ハイリスク妊産婦への支援 佐藤拓代
1 社会的ハイリスク妊産婦とは
2 社会的ハイリスク妊婦の実像
3 社会的ハイリスク妊産婦の支援
第8章 「支援」とは何か 社納葉子
1 私の妊娠と出産の経験
2 抑圧やネグレクトの果てに自分自身を「手放す」
3 どんな「支援」が求められたのか
4 向き合うのではなく、同じ方向を見る
引用参考文献
あとがき