障害学は、何のために、どのようなものとして存在する(べき)か──
その基本的な問いへの応答はあまりにも深められていない!!

障害学のリハビリテーション

障害の社会モデルその射程と限界

川越敏司、川島聡、星加良司【編】

[定価]   本体2,000円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-013-9
[判型]A5判並製
[頁数]192頁

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障害学にとっての基礎的な視点である「社会モデル」の分析を手掛かりに、
「当事者性」「実践性」「学術的厳密性」の間の緊張関係に正面から向き合い、
開かれた討議を通じて「学」として自己を鍛え、
潜んでいるポテンシャルを引き出そうとする問題提起の書。

【目次】


序 章 障害学の「リハビリテーション」という企て  川島聡・星加良司
 1 障害学の今
 2 本書の狙い
 
第1部 基調論文とコメント──社会モデルの分析と障害学への処方

第1章 社会モデルの分岐点──実践性は諸刃の剣?  星加良司
 はじめに
 1 矮小化された社会モデル理解
 2 内在的な限界は存在するか
 3 実践性の陥穽
 4 実践性を再考する

[コメント]障害学とジェンダー論と  菊地夏野
 1 ジェンダー論における「矮小化された社会モデル」
 2 見覚えのある二元論批判
 3 理論・学問は実践ではないのか?
 4 能力主義と障害者と女性と

第2章 障害の社会モデルと集団的責任論  川越敏司
 1 障害の社会モデル
 2 合理的配慮の根拠としての責任に基づく平等論
 3 集団的責任と障害者への配慮の提供
 4 集団的責任論の基本論点
 5 協調問題としての障害者支援
 6 アファーマティブ・アクションの経済的帰結

[コメント]〈個人〉対〈社会〉の対立モデルからの脱却──「アファーマティブ・アクション論」による障害の社会モデルの復権  後藤吉彦
 はじめに
 1 理論的な武器としての、社会的構築主義
 2  フーコーの権力分析からみた規範的主張の問題点
 3  障害者を他者化する「神話」の問題
 4  アファーマティブ・アクション論の意義
 おわりに

第3章 権利条約時代の障害学──社会モデルを活かし、越える  川島聡
 はじめに
 1 社会モデルと障害の理論
 2 社会モデルと多様な知見
 3 社会モデルと統合モデル
 4 社会モデルと障害学

[コメント]障害者権利条約実行のツール──社会モデルか統合(ICF)モデルか  佐藤久夫
 はじめに
 1 「抵抗の障害学」と「制度の障害学」
 2 「英国型社会モデル」やICFより「米国型社会モデル」が妥当、という点 
 3 「社会モデル」の二つの型
 4  ICFが示す相互作用
 5 現実の「相互作用」の多様な姿
 6 障害者権利条約実現のためのICFの活用

第2部 ディスカッション──「社会」に開かれた障害学の可能性 
 飯野由里子/川越敏司/川島聡/杉野昭博/中根成寿/星加良司
 1 基調論文とそれぞれの立場
 2 障害学の現在
 3 「社会」の責任を問うことの根拠
 4 「社会モデル」の鍛え方
 5 「社会」の区分とダイナミズム
 6  障害「学」を実践する