【目次】
序 章 問題の設定
一 新自由「主義」時代の自立・自助
二 自己決定をめぐる問い
三 本書の構成と用語について
第一章 再帰性以前の社会理論
一 はじめに
二 貧困が中心となる時代的背景
三 窮乏化論と労働価値説
四 高度成長期以降の貧困論
1 「新しい貧困」/2 江口の「層としての貧困」論/3 消費社会の出現と新たな貧困者像
五 貧困概念の陥穽
1 江口貧困論の陥穽 /2 九〇年代以降における貧困概念の帰結/3 ワーキング・プアについて
第二章 再帰性論の定義と展開
一 はじめに
二 再帰性概念の定義
1 再帰性にまつわる諸概念の区分 /2 反省と再帰性──嗜癖を事例として /3 再帰性と「反射」
三 理論的構成(1)──エージェンシ
四 理論的構成(2)──構造化理論
1 社会理論と創発特性 /2 ギデンズによるエージェンシへの注目 /3 エージェンシのダイナミズムの
説明:(1)「制約」の「資源」への読み替え /4 エージェンシのダイナミズムの説明:(2)「意図」と
「行為の結果」の区別 /5 エージェンシのダイナミズムの説明:(3)「再帰性」のダイナミズムの詳述
6 構造化理論の各要素
五 再帰性の展開とは──近代=暴走する世界
六 再帰性とグローバリゼーション
1 「懐疑論者」と「ラディカルズ」の立場 /2 マルチチュードと再帰性
七 小括
第三章 再帰性と社会福祉・社会保障の現在 I ─マクロの視点
一 はじめに
二 リスク社会の到来
1 リスク社会とは /2 リスク社会と伝統的福祉国家の消滅 /3 リスク社会論への批判──不安定性の
構造化社会としての現代
三 中産階級問題
1 中産階級問題とは /2 再帰性の高まりと新自由「主義」は異なるものである /
3 新自由「主義」的社会政策 /4 我が国のこれから──中産階級問題の高まりへ?
四 メッセージの政治へ──中産階級問題への取り組み
1 メッセージの政治とは /2 メッセージの政治の言葉(1)──「コミュニティ」 /
3 メッセージの政治の言葉(2)──「労働」
五 小括
《第三の道についてのノート──コミュニティ・労働の視点より》
第四章 再帰性と社会福祉の現在 II ──ミクロの視点
一 はじめに
二 自己アイデンティティの社会的条件
三 自己アイデンティティ概念への批判
1 アイデンティティ概念の失効──バトラーの批判 /2 再帰性ではなく反射であるという批判
──「動物化」する現代社会
四 再帰性の理論から見たミクロの状況の一事例──札幌母子家庭の母餓死事件の概要
1 事件の概要 / 2 水島解釈と久田解釈 /3 解釈が対立する社会
五 再帰性の高まりと貧困をめぐる争い
六 小括
第五章 社会福祉と社会保障の将来設計──残酷さの回避
一 これまでのまとめ
二 国家などの制度的安定性は前提にできない
1 福祉国家が抱える根本的な不安定性 /2 かつてのイギリスと似る日本の国民年金制度の危機
三 社会福祉・社会保障の問題は残酷さの回避に特化していく
1 福祉国家論の現状維持は可能か /2 「残酷さの回避」という戦略
四 どのようなプロセスなのか
参考文献
おわりに