障害者の感じる「もやもやとした差別」は解消されたとは言えない
マンガで考える 障害者と社会の壁
妖怪バリャー vs. 心のバリアフリー
障害当事者が実際に受けた差別的な発言や待遇をもとに、そうした「もやもや」に焦点を当て、社会のなかに根強くはびこっている優生思想や能力主義、迷信、慣習等と深く結びついていることを、マンガを使ってわかりやすく解説する。
【目次】
第1章 「バチが当たって障害者になる」?
「なぜこうなったか」の物語を求める人間
因果応報と障害
リアル・ザシキワラシの因果応報
「土佐源氏」の因果応報ストーリー
ピノキオと天罰
医学モデルが生まれたとき
誰がバリアフリーや障害者運動の恩恵を受けたか?
コラム① 障害の医学モデルと社会モデル(社会的障壁)
第2章 聖なる障害者——一九八〇年代に作られた「伝統」
とり憑かれた障害者
妖怪にされた障害者
神様にされた障害者
一九八一年、障害の「黒船来航」
創られた「日本古来の伝承」
福子は、社会保障か?
「古き良き日本社会」は、障害児を殺していた
第3章 何が何でも「人様にご迷惑をおかけしてはならない」のか?
その昔、なぜ人は「障害者はやっかい者」と口にしたか
「鶴の恩返し型」の支え合いが生む「迷惑」
相互扶助への動機づけ——ほめて、けなす
イエとイエの間の助け合い——等価交換の助け合い
障害者からのギフト
今では成り立たないギブアンドテイク
第4章 「地域」という幻想
自助と共助が先にある「地域共生社会」
美化されやすい、古き良き時代の相互扶助
昔は、地域の子育ての環境は良かったか
消された私たちの共生
村社会にあった残酷な「支え合い」を超えて
第5章 障害者がふつうに暮らせる社会をめざして
障害者運動は「地域」との戦いでもあった——「青い芝の会」へ向けられた「氷矢のような視線」
「共助」のリアル
その昔、家族による介護が今よりも楽だった理由
揺らぐケアへの動機づけ——ケアと道徳と承認欲求とタタリ
障害者を包摂する「共生社会」は、かつて存在しなかった新しく壮大なプロジェクト