ケアの小規模化がもたらす新しいケア労働の形とは?
ユニットケアとケアワーク
ケアの小規模化と「ながら遂行型労働」
「個別ケア」を実施するための方法論としてのユニットケア。
ケアの小規模化はどのように要介護高齢者の尊厳を支え、ケア労働はどのように変化しているのか、
そしてそれはどのような枠組みで説明できるのか。
ユニットの現場で実際に起きていること、ケアワーカーたちの労働の実態を詳細に追い、
肉体労働・頭脳労働と、「気づかい労働」が重層的、同時並行的になされる、
「ながら遂行型労働」という新しいケア労働の形を提示する。
【目次】
まえがき
序 章 研究の目的と意義
1 ケアシステムの転換とケア労働
2 社会学は認知症・認知症ケアをどう捉えてきたか
3 「感情労働」という概念――自己疎外からケアリングの要素へ
4 フィールドでの発見
5 本研究の意義――「ながら遂行型労働論」の提起
6 本論文の構成
第1章 認知症ケアの現在
1 認知症ケアのパラダイム転換
2 認知症ケアの変容過程
3 ユニットケアの現在
4 高齢者施設におけるケア労働
第2章 「日常生活を共にする」ケアとは何か――「疑似的家事労働領域」と「ながら遂行型労働」
1 認知症の人と「日常生活を共にする」ことの意義
2 調査の対象と方法
3 コミュニケーションにおける質と量の差
4 「ながら遂行型労働」
5 「疑似的家事労働領域」の誕生
6 ユニットにおける労働編成
7 小括
第3章 「自尊心を支える」ケアとは何か――「ながら遂行型」に提供される「気づかい労働」
1 「自尊心を支える」ことの意義
2 〈脱-アサイラム〉状況という視点と問題の所在
3 調査の対象と方法
4 「VIPユニット」の生活
5 利用者への「気づかい労働」
6 「気づかい労働」はどのように行われるか
7 小括
終 章 ユニットにおけるケア労働の特質――ながら遂行型労働論の提起
1 利用者の重度化とケア労働
2 家事労働的性質の付与
3 「ながら遂行型労働」とは何か
4 残された課題と展望
補 遺 ユニットケアの質を高めるために――先進施設の実践から
1 調査の対象と方法
2 「個別性」の実現へと深まる志向性
3 ユニットケアの質を高めるもの――管理者のかかわり
あとがき
文献