構造的類似性から一種の保安処分と同定できる医療観察法。
何故、日本精神保健福祉士協会は実質的且つ積極的に関与を表明するに至ったのか!
保安処分構想と医療観察法体制
日本精神保健福祉士協会の関わりをめぐって
構造的類似性から一種の保安処分と同定でき、差別的で均衡を逸した制度としてある医療観察法。
何故、日本精神保健福祉士協会は実質的且つ積極的に関与するのか?
「再犯のおそれ」と「医療の必要性」という、相反的であり且つ相補的でもある処遇要件を完備した医療観察法。
その法へのPSWの関与の強度の過程を精査することを通して、精神保健福祉士(PSW)の活動の価値基盤の中にもともと強制性が内包されていたという必然を解題する。
【目次】
はじめに
1 本書の目的
2 本書主題に対する筆者の「態度」について──問題関心に代えて
3 本書の構成
4 本書の意義
第1章 保安処分とは何か
1 保安処分の始点と定義
2 保安処分の執行形式
3 刑罰と保安処分の関係──併行主義と代替主義
4 小括
第2章 日本における保安処分導入の過程
1 現行刑法制定から1974(昭和49)年の「改正刑法草案」まで
2 昭和49年草案に対する各種団体の反応
3 「保安処分制度(刑事局案)の骨子」と日弁連「精神医療の抜本的改善について(要綱案)」の波紋
4 小括
第3章 協会の保安処分に対する「対抗」の過程
1 協会創始期
2 「Y問題/Y事件」その1──Y問題告発まで
3 「Y問題/Y事件」その2──協会第12回大会・総会中止まで
4 協会の保安処分に対する「対抗」の過程
5 小括
第4章 協会の医療観察法への関与の過程──保安処分とPSWとの親和性
1 医療観察法成立の経緯
2 医療観察法成立にPSWはどのような関わりを持ったのか?
3 小括
第5章 PSWの医療観察法への関与のロジック──協会機関誌『精神保健福祉』における二つの特集の検討
1 協会機関誌2002年特集──PSWの使命を媒介とした観察法への関与の模索
2 協会機関誌2003年特集──観察法への関与を契機としたPSWの権能拡大の模索
3 小括
第6章 「精神保健観察」にみる社会復帰の意味
1 「精神」の障害における「社会復帰」
2 社会復帰調整官の法制度上の位置づけ
3 「精神保健観察」における「社会復帰」の意味
4 小括
終 章 本書のまとめ──PSWの司法分野における構造的・機能的役割拡大へ
1 本書のまとめ
2 PSWの司法分野における構造的・機能的役割拡大へ──今後の研究課題に代えて
巻末資料1
巻末資料2
あとがき
謝辞
文献リスト