子どもが亡くなった後の世界
小児がんで子どもを亡くした親の悲嘆とケア
絆の再構築プロセスとソーシャルワーク
親たちは、子どものがん闘病と死をどのように受けとめ、対処し、その中でどのような内面的変化を経験してきたのか。そのリアルな経験に近づき、悲しみを親自身の視点から読み解く。 子どもを亡くした親の経験を当事者の視点から明らかにすることによって、親を支えるための援助についても、ソーシャルワークの視点から検討する。
【目次】
はじめに
第1章 小児がんで子どもを亡くした親の経験
問題の所在
主観的経験をとらえる
子どもを小児がんで亡くすということ
第2章 悲嘆に関する先行研究
キー概念の定義
悲嘆プロセスに関する研究
子どもを亡くした親の悲嘆プロセスに関する研究
第3章 質的研究法による調査設計
質的研究法の視座とその特性
調査の概要
データの分析
第4章 子どもの闘病と死をめぐる親の主観的経験──子どもとの絆の再構築プロセス
親の語りを分析する
カテゴリーと概念によって親の内的変容プロセスを描き出す
第5章 母親と父親の違い
違いが見られた概念
他者とのかかわり方の違い
子どもとの絆の安定化における違い
夫婦間のすれ違い
第6章 絆の再構築を支える援助
分岐点と類型化
プロセスに影響を及ぼす要因
援助モデルの提示
絆の再構築を支えるソーシャルワークの五つの視点
第7章 援助実践にむけての展望と課題
包括的な援助の取り組みにむけて
当事者が担い手になることへの期待
援助モデル応用への可能性
本書の意義
今後の課題
あとがき
参考文献