「特集 わけること、わけないこと」「トークセッション いのちをわけること、わけないこと、選ぶこと、選ばないこと
玉井真理子×大塚孝司×堀田義太郎」ほか
支援 Vol.5
特集:わけること、わけないこと
「共にある」あり方を歪めるものとして疑われる「わけること」。
しかし「わけること」を否定しさえすれば問題が解決するわけではない。
求められるのは、「わける」「わけない」の二元論をこえて、
「わけること/わけないこと」の具体的な中身やその機能に丁寧に向き合い、
それぞれの文脈を踏まえて問題を解きほぐしていくこと。
教育を「する」立場にある人たちがどのような「場」を目指したのかが語られるとともに、
「される」側にとって「場」がどのように経験されていたのかが回想され、
教育の「場」が単に教育の場であることを越えて、
良くも悪くも重要な社会的経験の場となることがリアルに語られる一方で、教育の「場」である学校が、
それを制度的に担保する国家の政治的・政策的な意図や目的と深く結びついたものであるという事実が厳然と示される。
通底する問題意識として「わけること、わけないこと」をたてた、
「教育」と「学校」をめぐって考えたいこと考えたこと。
【目次】
【特集】わけること、わけないこと
「分ける」契機としての教育 星加良司
分けられ、混じり、混ぜられ、分かれ 倉本智明
「がっこう」のかっこう、「みんな」と「ひとり」としてのかっこう
──〈わけられ〉のあらがいと、〈わけない〉なかの〈わけられ〉と 出口泰靖
就学運動から学ぶもの 三井さよ
「〇点でも高校へ」組の大学キャンパスへの登場 篠原睦治
「わけること/わけないこと」──朝鮮学校という「場」から考える 韓東賢
セクマイから見た大学生活 中井 高橋 山口
【トークセッション】
いのちをわけること、わけないこと、選ぶこと、選ばないこと─尊厳死法案と新型出生前診断問題を手掛かりに
大塚孝司×玉井真理子×堀田義太郎 司会/井口高志・土屋葉
【ロングインタビュー】
転換点としての震災経験──木村高人さんに聞く 聞き手/土屋葉、井口高志
いま、釜石で──山田昭義さんに聞く 聞き手/土屋葉・山下幸子
【エッセイ】
セクシュアルマイノリティの生き辛さ──いないものとされる存在に支援は届くのか? 大江千束
性をツールとした労働をする人について 水嶋かおりん
ついでにやれればいいのに──「支援者の顔」に寄せて 内海新祐
認知症とよりよく生きる──吉田美穂さんの場合 水谷佳子
ジタバタプカプカブクブクプカプカ──バルネラブルな知識の交換のために(4) 飯野由里子
【支援の現場を訪ねて】
①ピアレストラン・こらーるカフェ(墨田区)──おいしく食べる幸せ 山下幸子
②自立生活センターさっぽろ(札幌市)──パーソナルアシスタンス(PA)制度を求めて 岡部耕典
③ピア名古屋ワイン事業部(名古屋市)──ぶどう畑で「はたらく」そして「生きる」 土屋葉
④DAYS BLG!(町田市)──デイの行き帰りは“BMW”に乗って 出口泰靖
【コラム】支援の周辺
①「家族を語ること」を考える 井口高志
②合理的配慮の先 山下幸子
③障害のある子を選ぶ/選び直すこと──新型出生前検査 岡部耕典
【書評】
①何が変わったのか、何が変わっていないのか?(『造反有理──精神医療現代史へ』立岩真也著) 山本眞理
②ルビンの壺はひび割れていないか(『カムアウトする親子─同性愛と家族の社会学』三部倫子著) 森山至貴
③これは私たちについての本でもある──「性被害」の割り切れなさの中で
(『養護教諭の社会学──学校文化・ジェンダー・同化』すぎむらなおみ著) 三井さよ
【くまさんのシネマめぐり④】
「地上におりないで」スペシャルに生きること──『わたしはロランス』『かぞくのくに』 好井裕明
【ブックガイド】
関心の「芽」を育てる。それが私たちの役割 (『難病カルテ──患者たちのいま』蒔田備憲著) 青木志帆
女性ホームレスの生活世界から主体を問い直す
(『女性ホームレスとして生きる──貧困と排除の社会学』丸山里美著) 堅田香緒里
社会的養護の営みを通して子どもの育ちを考える
(『児童養護施設の心理臨床──「虐待」のその後を生きる』内海新祐著) 長瀬正子
鮮やかに描き出される「子ども」へのまなざしの変容
(『はじき出された子どもたち──社会的養護児童と「家庭」概念の歴史社会学』土屋敦著) 土屋葉
“父”をこじらせる私の癒やし本
(『哲学する〈父(わたし)〉たちの語らい─ダウン症・自閉症の〈娘(あなた)〉との暮らし』
竹内章郎・藤谷秀著)出口泰靖
シームレスな支援のために
(『発達障害のある人の大学進学──どう選ぶかどう支えるか』高橋知音著) 山下幸子
口絵 東京・多摩 たこの木クラブ 写真・矢部朱希子
表紙挿画 後藤つき子