「耳と目の力を駆使して、どんな文学にも負けない仕事をなし遂げた。
この仕事は石牟礼道子さんの仕事を継ぐものだ」(伊藤比呂美)

「病いの経験」を聞き取る [新版]

ハンセン病者のライフヒストリー

蘭 由岐子【著】

[定価]   本体1,800円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-064-1
[判型]文庫判並製
[頁数]544頁

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療養所内外のハンセン病者が歩んだ生活史と思いを、
一人ひとりの「病いの経験」を聞くフィールドワークにたずさわる自らの姿とともに描いた、
社会学におけるライフヒストリー研究、質的調査法の画期をなした名著、
文庫版となって待望の新版刊行!
解説=桜井厚(社会学)、伊藤比呂美(詩人)。

【お詫びと訂正】
本書の本文中に以下の誤りがありました。
以下、お詫びして訂正させていただきます。
(生活書院編集部)

■136ページ 図
(誤)横軸の名称「入所者が家族を拒絶」
(正)横軸の名称「家族が入所者を拒絶/受容」

【目次】

はしがき

第Ⅰ部 ライフヒストリーを聞き取るということ

序章 フィールドに出る、ライフヒストリーを聞き取る──「わたし」の経験
 1 はじめに──ハンセン病・ハンセン病療養所について
 2 なぜ「わたし」はハンセン病療養所入所者の聞き取りをするようになったのか
 3 聞き取りという実践──ハンセン病とかかわる「わたし」の経験
 4 ハンセン病療養所入所者からライフヒストリーを聞き取るということ
 5 課題

第一章 ハンセン病者研究の方法論的視座
 1 ハンセン病者のなにに焦点をあてるか
 2 「病いの経験」と「病いの語り」
 3 ライフヒストリーの方法論

第Ⅱ部 ハンセン病者の「病いの経験」

第二章 ハンセン病者にとっての「家族」
 1 はじめに
 2 ハンセン病療養所とその入所者の現況
 3 入所者と家族
 4 入所者にとっての「家族」とは

第三章 「悔い」を生きる
 1 ある論評
 2 発病から療養所入所まで
 3 結婚
 4 在郷家族との関係
 5 「後悔すること」の意味

第四章 「正直に」生きる
 1 独特のアイデンティティの表明
 2 中山義和さんというひと
 3 ハンセン病を病むということ、療養所で暮らすということ
 4 中山義和さんのその後

第五章 「六つの名前」を生きる
 1 六つの名前
 2 療養所入所以前──○○チヅ、岩田加代子、大牟田与志、中井良子を生きる
 3 療養所入所後──藤川チヅ、佐藤良子を生きる
 4 戦後──中井良子、佐藤良子、そして藤川チヅを生きる
 5 むすびにかえて

第六章 「社会」に生きる
 1 ハンセン病者のサブカテゴリー
 2 療養所退所者にインタビューするということ
 3 うそをつくのが上手になった人生──島田一成さんのライフヒストリー
 4 不遇な人生──武内太郎さんのライフヒストリー
 5 静かな闘志──沢口明さんのライフヒストリー

第七章 「訴訟期」を生きる
 1 論理ではなく心情──原告にならない理由
 2 原告になることの苦悩──社会復帰者 沢口明さんの経験

第八章 「訴訟期療養所」というフィールドで
 1 ハンセン病訴訟原告勝訴
 2 訴訟期ハンセン病療養所
 3 あるフィールドワーク
 4 フィールドワークを終えて
 5 差別をめぐる位置取り──告発、啓発、忌避、そして、向き合うこと

むすびにかえて
 1 語ることの困難さとその克服
 2 誰がどのように語りを聞くか──語りと社会的コンテクスト
 3 今後の課題

補遺 ハンセン病政策史の概要
 1 戦前のハンセン病予防政策 
 2 戦後のハンセン病予防政策
 3 「らい予防法」の内容
 4 「らい予防法」の廃止
 5 「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟提訴と原告勝訴

文献一覧
資料

あとがき
文庫版あとがき

解説 桜井厚
人の生きる死ぬるをみつめる目──蘭由岐子さんのこと 伊藤比呂美