ケアの小規模化がもたらす新しいケア労働の形とは?

ユニットケアとケアワーク

ケアの小規模化と「ながら遂行型労働」

岡 京子【著】

[定価]   本体2,300円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-049-8
[判型]A5判並製
[頁数]176頁

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「個別ケア」を実施するための方法論としてのユニットケア。
ケアの小規模化はどのように要介護高齢者の尊厳を支え、ケア労働はどのように変化しているのか、
そしてそれはどのような枠組みで説明できるのか。
ユニットの現場で実際に起きていること、ケアワーカーたちの労働の実態を詳細に追い、
肉体労働・頭脳労働と、「気づかい労働」が重層的、同時並行的になされる、
「ながら遂行型労働」という新しいケア労働の形を提示する。

【目次】


まえがき

序 章 研究の目的と意義
 1 ケアシステムの転換とケア労働
 2 社会学は認知症・認知症ケアをどう捉えてきたか
 3 「感情労働」という概念――自己疎外からケアリングの要素へ
 4 フィールドでの発見
 5 本研究の意義――「ながら遂行型労働論」の提起
 6 本論文の構成

第1章 認知症ケアの現在
 1 認知症ケアのパラダイム転換
 2 認知症ケアの変容過程
 3 ユニットケアの現在
 4 高齢者施設におけるケア労働

第2章 「日常生活を共にする」ケアとは何か――「疑似的家事労働領域」と「ながら遂行型労働」
 1 認知症の人と「日常生活を共にする」ことの意義
 2 調査の対象と方法
 3 コミュニケーションにおける質と量の差
 4 「ながら遂行型労働」
 5 「疑似的家事労働領域」の誕生
 6 ユニットにおける労働編成
 7 小括

第3章 「自尊心を支える」ケアとは何か――「ながら遂行型」に提供される「気づかい労働」
 1 「自尊心を支える」ことの意義
 2 〈脱-アサイラム〉状況という視点と問題の所在
 3 調査の対象と方法
 4 「VIPユニット」の生活
 5 利用者への「気づかい労働」
 6 「気づかい労働」はどのように行われるか
 7 小括

終 章 ユニットにおけるケア労働の特質――ながら遂行型労働論の提起
 1 利用者の重度化とケア労働
 2 家事労働的性質の付与
 3 「ながら遂行型労働」とは何か
 4 残された課題と展望

補 遺 ユニットケアの質を高めるために――先進施設の実践から
 1 調査の対象と方法
 2 「個別性」の実現へと深まる志向性
 3 ユニットケアの質を高めるもの――管理者のかかわり

あとがき
文献