貧しい国々の「夢」を現実にしたHIV陽性者運動の軌跡

世界を動かしたアフリカのHIV陽性者運動

生存の視座から

新山智基【著】

[定価]   本体3,000円(税別) 

[ISBN]978-4-903690-85-8
[判型]A5判上製
[頁数]220頁

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世界で一番寿命の短い国々が集中する南部アフリカ。
ジンバブエ34歳、スワジランド35歳、ボツワナ36歳…目を疑うような数字の背景にあるHIV/AIDS問題。
今、そうした国々でも抗レトロウイルス薬(ARV)治療が開始され、急速に広がりつつある。
貧しい国々の「夢」を現実にしたものは、何だったのか。
なぜ、21世紀に入ってからのごく短い期間でARV治療が実施されるようになったのか。
歴史的変化を呼び起こしたHIV陽性者運動を跡付け、さらなるエイズ治療実現のための課題を抽出する。
補論=斉藤龍一郎、立岩真也

【目次】


まえがき

序章

第1章 HIV陽性者の苦しみとエイズ対策の遅れ
 1 当事者によりそう対策の欠如(当事者の苦しみ):ザッキー・アハマットという生き方
 2 証言する裁判官:HIV陽性者エドウィン・キャメロンの見た南アフリカにおけるエイズ対策の課題

第2章 HIV陽性者運動の展開:NGO・ネットワーク組織の事例
 1 トリートメント・アクション・キャンペーン(TAC):南アフリカ
 2 ケニア・エイズと共に生きる女性たちのネットワーク(Kenya Network of Women with AIDS:KENWA)
 3 ナイジェリア治療アクション運動(TAM)の結成

第3章 アフリカのHIV陽性者運動がもたらした変革1(2000年以降の変革期):国際的な対応
 1 国連アフリカ経済委員会主催アフリカ開発会議:アディス・アベバ(2000年12月)
 2 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)(2002年1月)
 3 国際エイズ治療体制構築サミット最終報告書(2003年7月)
 4 3 by 5イニシアティブ
 5 アフリカ連合(AU)「エイズ・結核・マラリア・その他の関連する感染症に関する マプート宣言」(2003年7月)

第4章 アフリカのHIV陽性者運動がもたらした変革2:治療薬特許権とARVをめぐる動向
 1 エイズ治療薬特許権をめぐる問題
 2 ARVを巡る先進国での争い:シアトルWTO閣僚会議で表面化したエイズ治療薬と知的所有権の問題
 3 途上国でのエイズ治療の可能性を開く:ブラジルの挑戦
 4 南アフリカの農村部における草分け的ARV治療アクセス
 5 西ケープ州における抗レトロウイルス薬治療実施の錯綜する諸課題

終章 エイズに関わる当事者運動と生存

補論1 南の国々から広がる地球規模疾病負荷(GBD)との闘い 斉藤龍一郎
補論2 補足──もっとできたらよいなと思いつつこちらでしてきたこと 立岩真也

用語集
あとがき