出生前診断の「現在」を知り、考えるべき問題は何かを抽出した必読の書!!

出生前診断とわたしたち

「新型出生前診断」(NIPT)が問いかけるもの

玉井真理子、渡部麻衣子【編著】

[定価]   本体2,200円(税別) 

[ISBN]4-86500-026-9
[判型]四六判並製
[頁数]264頁

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着床前診断が目指した〈早期化〉と母体血清マーカー検査がもくろんだ〈大衆化〉、
ある意味でそれらが合体した「新型出生前診断」(NIPT)には、新しい問題と新しくもない問題が混在している。
出生前診断の「現在」を知り、考えるべき問題は何かを抽出した必読の書!!

【目次】


はじめに   玉井真理子

第1部 出生前診断・スクリーニングのいま

第1章 出生前診断をめぐる相談の現場から  玉井真理子
 1 遺伝と遺伝性疾患について
 2 遺伝相談の外来に臨床心理士としてかかわる
 3 どれくらいの妊婦が出生前診断を受けているのか
 4 生まれてくる子の健康を素朴に願う気持ち
 5 女性やカップルの逡巡と困惑
 6 バランスのとれた情報提供を
 7 私が出会った女性たちのゆれる想い

第2章 医学の「まなざし」・家族の「まなざし」──出生前検査の投げかける問い   渡部麻衣子
 1 はじめに
 2 出生前検査と医学による人の「生」の支配
  (1)出生前検査の投げかける問い
  (2)医学による人の「生」の支配
  (3)医学による人の「生」の支配はなぜ問題か
 3 出生前検査はいかにして作られてきたか
  (1)開発の前提
  (2)開発から応用まで
  (3)検査の意義についての開発者等の主張
 4 「出生前検査」を推進する議論
 5 医学の「認識」
  (1)「医学の感覚器」の一つとしての「分類」
  (2)「ダウン症」の誕生
  (3)医学は人を分類する
 6 異なる「まなざし」の可能性
  (1)「当事者」の経験から
  (2)家族の経験から
 7 写真による経験の表現
  (1)「当事者」のジレンマ
  (2)Shifting Perspectives
 8 正しく伝えて、正しくはじめる
 9 おわりに

第3章 出生前検査について今あらためて考える  渡部麻衣子
 1 はじめに
 2 「新型出生前検査」とは
 3 「新型出生前検査」の特徴
 4 提供をめぐって
 5 今、何について論じるべきなのか
 6 「新型出生前検査」の試験的提供
 7 出生前検査技術のはじまり──染色体の「異数性」の発見
 8 分類のはじまり
 9 「新型出生前検査」へ至る流れ
 10 障がい者をめぐる社会の変化
 11 今何が問われているのか

第2部 海外の取り組みから

第4章 ダウン症の出生前および出生後告知の現状と医療者への助言
    ──アメリカ ブライアン・スコトコの取り組み    二階堂祐子
 1 はじめに
  (1)スコトコによる研究の主眼、特長
 2 アンケート調査の概要
  (1)対象
  (2)分析方法
  (3)調査票
  (4)結果の概要
 3 出生後告知とケアおよび医療者への助言(アメリカ、スペイン)
  (1)出生後告知の実際
  (2)母体血清マーカー検査受検後の出産
  (3)出生後告知のまとめ
  (4)出生後告知とケア──医療者への助言
 4 出生前告知とケアおよび医療者への助言(アメリカ)
  (1)出生前告知の実際
  (2)妊娠継続の決定
  (3)出生前告知を受けた母親の出産経験
  (4)出生前告知とケア──医療者への助言
 5 告知の際の情報提供に関する連邦法の成立
  (1)連邦法の目的とその施策
 6 日本の出生後告知の現状
  (1)一九九〇年代
  (2)二〇〇〇年代
  (3)出生前告知のこれから
 7 おわりに

第5章 いわゆる「新型出生前診断」をめぐるドイツの生命政策
    ──ドイツ倫理評議会答申(二〇一三年)と妊娠葛藤法改正(二〇〇九年)  小椋宗一郎
 1 はじめに
 2 ドイツ倫理評議会答申と「妊娠葛藤」
 3 医学的適応の要件
 4 妊娠葛藤法の改正──出生前診断に際しての相談
 5 ドイツ倫理評議会における議論の対立点
 6 おわりに──いわゆる「新型出生前診断」をめぐるドイツと日本の対応

第3部 出生前診断・スクリーニングの倫理と論理

第6章 出生前診断と自己決定  玉井真理子
 1 「男性社員のピアス」と「出生前診断」
 2 事実誤認と認識不足の問題
 3 「どうする、あなたなら」?
 4 「苦渋に満ちた」自己決定
 5 出生前診断をめぐる「礼儀作法」
 6 それでも「自己決定」を死守するとしたら
 補遺

第7章 出生前診断における「知らせる必要はない」問題再考  玉井真理子
 1 はじめに
 2 国内における出生前診断の「普及」と法的状況
 3 出生前診断のルール──一九八八年から二〇〇三年まで
 4 一九九九年──「母体血清マーカー検査に関する見解」
 5 「知らせる」ことを「積極的」にする必要はない
 6 なぜ、「知らせる必要はない」のか?
 7 「知らせる必要はない」のグラデーション
 8 イギリスでの出生前ダウン症スクリーニング
 9 結びにかえて──出生前診断における「機会の平等」
 補遺

おわりに   渡部麻衣子