暮らしに根差しながらまずはかかわるところから始める、
とはどのようなことか。
支援のてまえで
たこの木クラブと多摩の四〇年
ものすごい勢いで物事が変化していく支援の現場。
発せられた言葉はあっという間に過去のものになり、日々更新されていく。
でも、だからこそ、多摩の人たちが何をしようとしてきたのかを伝えたい。
昔を懐かしむのでもなく、「いま」をそのまま切り取るのでもない、そうした記録を残したい。
【目次】
はじめに──たこの木クラブと多摩の前史 三井さよ
1 暮らしに根差し、かかわることから始める――たこの木クラブや多摩の特徴
2 多摩というところ――複数の事業所によるネットワーク
3 三つの保育園と就学時健康診断反対運動
コラム たこの木追っかけ日記――たこの木にまつわる諸々のこと① 荒木巧也
第1章 たこの木クラブと多摩の四〇年 三井さよ
1 多摩で育まれていた土壌
2 子ども会活動と地域
3 食べることと暮らしと
4 青年たちの課題へ
5 事業を立ち上げる
6 制度との緊張関係
7 引き継ぐものは何か
コラム たこの木追っかけ日記――たこの木にまつわる諸々のこと② 荒木巧也
Photo たこの木キャンプ(一九九四 道志川)
第2章 支援は〈やりとり〉の連続に尽きる 岩橋誠治
1 「関係づくり」から「支援」へ
2 相手があっての支援・その相手とは?
3 支援をする側/される側――そもそも何を支援している?
4 わからない相手との関わり
5 関わり続けるしんどさ
6 ともに生きるための支援①――制度/支援の利用はレッテル貼りではない
7 ともに生きるための支援②――たとえ「制度の対象者」と捉えなくても
8 ともに生きるための支援③――様々な関係を築く中に
9〈やりとり〉というコミュニケーション
10 支援は〈やりとり〉の連続に尽きる
コラム たこの木追っかけ日記――たこの木にまつわる諸々のこと③ 荒木巧也
第3章 子ども会から働く場へ――たこの木の三〇年、あしたやの二〇年 和田幸子
1 たこの木ひろば開設
2 働く場つくり準備会からたこの木企画へ
3 はらっぱ開設――たこの木共働企画へ
4 あしたや開設――あしたや共働企画へ
5 共に働くって?――最初の思い
6 制度利用――作業所の補助金から、障害者自立支援法へ
7 線引きの問題――支援法内事業に移行して
8 働くということ
コラム たこの木追っかけ日記――たこの木にまつわる諸々のこと④ 荒木巧也
第4章 支援のその先へ――すいいち企画 児玉雄大
1 すいいち企画との出会い
2 ある日のすいいち企画から
3 支援しない支援
4 交戦しない反乱・ゲリラ作戦としてのすいいち企画
5 支援のその先へ
コラム たこの木追っかけ日記――たこの木にまつわる諸々のこと⑤ 荒木巧也
Photo 夏合宿(一九九四 馬頭)
第5章 諦めることを諦める――たこの木クラブのスタッフとしての一〇年間 横田彰敏(聴き手+構成:三井さよ)
1 たこの木クラブで働き始めた頃
2 当時のたこの木クラブの印象
3 転機になったのは?
4 介助者たちの「温度差」
5 横田さんの立ち位置
6 岩橋さんはどう見えるか
7 デタッチメント
コラム たこの木追っかけ日記――たこの木にまつわる諸々のこと⑥ 荒木巧也
第6章 介助を続けていく 寺本晃久
1 オーダーメイドで暮らしをつくる
2 一緒にいることとその難しさ
特別付録 講演録「重度の知的障がいのある人の一人暮らしを支える」 岩橋誠治(編集・ヒビノクラシ舎)
1 「知的当事者の一人暮らし」と「私たちの一人暮らし」
2 重度の知的障害者が自らの暮らしをはじめられない理由
3 重度知的当事者の自立生活支援の系譜と多摩市のたこの木クラブ
4 「専門性」と「支援のレシピ」
5 地域移行支援事業に関わって
6 連続する暮らしの中で支援を連続させていく
7 地域で暮らすということ
8 事業所によるヘルパー派遣制度について
9 キーパーソンを育てる
10 おしまいに
おわりに 三井さよ