作業療法学は何を目指し、何処へ向かえばよいのか
日本における作業療法の現代史
対象者の「存在を肯定する」作業療法学の構築に向けて
作業療法学は何を目指し、何処へ向かえばよいのか。
矛盾した言葉・概念として臨床現場に存在する「障害受容」を手掛かりに、
日本における作業療法の現代史を丁寧に追い、
「存在の肯定」という規範・倫理的視座から、
過去から連なる作業療法の「良い」未来図を提示する。
【目次】
序 論
i 問題の視座と研究目的
ii 本論文の構成と各章の要旨
iii 本研究の意義
iiii 本研究の限界
第1章 ひとの価値と作業療法——障害者の就労の3つの位相をめぐる一考察
1 問題意識の所在
2 作業療法における内在価値
3 障害者の就労の3つの位相
4 ひとの価値と作業療法
第2章 日本における作業療法(学)の現代史
1 1965年〜1975年——医療職化と独自性のはざまで
2 1976年〜1991年——「作業療法の核を問う」までの道筋とその着地点
3 作業療法(学)における理論化の動向——特に1992年以降に着目して
第3章 「寝たきり老人」をめぐるリハビリテーション言説——特に1990年以降について
1 はじめに
2 制度・政策
3 リハビリテーションの医療経済
4 リハビリテーションにおける言説
5 全体考察
6 おわりに
第4章 「認知症高齢者」をめぐるリハビリテーション言説
1 認知症高齢者の作業療法における言説・研究の変容・編制過程
——1980・1990年代のリハビリテーション雑誌の検討
2 認知症高齢者の「QOL」の概念化・尺度化・援助設定をめぐる論点の整理
第5章 日本のリハビリテーション学における「QOL」の検討
——主観/客観を超えたリハビリテーション学の足場を求めて
1 はじめに——なぜ「QOL」を問題とするのか
2 対象と方法
3 結果——三期に分けて俯瞰した「QOL」の言説・研究の特徴と変化
4 考察——主観/客観の裂け目と存在を下支えする規範的支援概念の必要性
第6章 存在価値と能力価値の倒置のない作業療法学のあり様を目指して
——「作業の意味性」と「治療/非治療のフィールド」の探究
1 第1章から第5章までのまとめ
2 作業療法学とリハビリテーション学の理論や思想間の比較検討
3 存在価値と能力価値の倒置のない作業療法学のあり様を目指して
あとがき