作業療法学は何を目指し、何処へ向かえばよいのか

日本における作業療法の現代史

対象者の「存在を肯定する」作業療法学の構築に向けて

田島明子【著】

[定価]   本体3,000円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-009-2 
[判型]A5判上製
[頁数]272頁

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作業療法学は何を目指し、何処へ向かえばよいのか。
矛盾した言葉・概念として臨床現場に存在する「障害受容」を手掛かりに、
日本における作業療法の現代史を丁寧に追い、
「存在の肯定」という規範・倫理的視座から、
過去から連なる作業療法の「良い」未来図を提示する。

【目次】


序 論
 i 問題の視座と研究目的
 ii 本論文の構成と各章の要旨
 iii 本研究の意義
 iiii 本研究の限界

第1章 ひとの価値と作業療法——障害者の就労の3つの位相をめぐる一考察
 1 問題意識の所在
 2 作業療法における内在価値
 3 障害者の就労の3つの位相
 4 ひとの価値と作業療法

第2章 日本における作業療法(学)の現代史
 1 1965年〜1975年——医療職化と独自性のはざまで
 2 1976年〜1991年——「作業療法の核を問う」までの道筋とその着地点
 3 作業療法(学)における理論化の動向——特に1992年以降に着目して

第3章 「寝たきり老人」をめぐるリハビリテーション言説——特に1990年以降について
 1 はじめに
 2 制度・政策
 3 リハビリテーションの医療経済
 4 リハビリテーションにおける言説
 5 全体考察
 6 おわりに

第4章 「認知症高齢者」をめぐるリハビリテーション言説
 1 認知症高齢者の作業療法における言説・研究の変容・編制過程
       ——1980・1990年代のリハビリテーション雑誌の検討
 2 認知症高齢者の「QOL」の概念化・尺度化・援助設定をめぐる論点の整理

第5章 日本のリハビリテーション学における「QOL」の検討
 ——主観/客観を超えたリハビリテーション学の足場を求めて 
 1 はじめに——なぜ「QOL」を問題とするのか
 2 対象と方法
 3 結果——三期に分けて俯瞰した「QOL」の言説・研究の特徴と変化
 4 考察——主観/客観の裂け目と存在を下支えする規範的支援概念の必要性

第6章 存在価値と能力価値の倒置のない作業療法学のあり様を目指して
 ——「作業の意味性」と「治療/非治療のフィールド」の探究
 1 第1章から第5章までのまとめ
 2 作業療法学とリハビリテーション学の理論や思想間の比較検討
 3 存在価値と能力価値の倒置のない作業療法学のあり様を目指して

あとがき