「生存学」その待望のテキスト

生存学の企て

障老病異と共に暮らす世界へ

立命館大学生存学研究センター【編】

[定価]   本体2,500円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-052-8
[判型]A5判並製
[頁数]288頁

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様々な身体の状態を有する人、状態の変化を経験して生きていく人たちの生の様式・技法を知り、
それと社会との関わりを解析し、人々のこれからの生き方を構想し、
あるべき社会・世界を実現する手立てを示す=「生存学」その待望のテキスト。
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毎日からこぼれて落ちているものを拾い集めるという仕事がある。
そこから、なにか役に立つことも言えるかもしれない。
すぐには現実的でないが、可能な、まだましな道を描くことができるかもしれない。
…調べたり書いたりすることはおもしろい、大切なことだ、自分もやってみたい。そう感じてくれたらうれしい。
本書は「生存学」の「教科書」を作ってみたらと言われたところから始まっている。
ここに様々記されていることに覚えておいてほしいこともある。
ただ、もう一度繰り返すが、教えられたり諭されたりというより、むしろその「もと」を作る、それに参加しませんか。
(本書「序章」より)

【目次】


序 章 立岩真也

 おもしろいかもしれない/調べることがあってしまっている/なぜ穴があいているのか?・1
 なぜ穴があいているのか?・2/楽できる、時間が稼げる、が結局考えることになる、それに助言する
 場があること、実際、多様であること+密度があったこと/集めること

第1章 生存の現代史   村上潔

 1 患者運動の現代史
   有吉玲子『腎臓病と人工透析の現代史──「選択」を強いられる患者たち』
 2 障害者運動の現代史
   定藤邦子『関西障害者運動の現代史──大阪青い芝の会を中心に』
 3 介護労働運動の現代史
   渋谷光美『家庭奉仕員・ホームヘルパーの現代史──社会福祉サービスとしての在宅介護労働の変遷』
  【コラム】障害学国際セミナー  長瀬 修

第2章 生存のエスノグラフィー

 1 ままならぬ身体と文学   西 成彦
   川口有美子「カフカ、『変身』に見られる家族の自立」
   田中壮泰「グレーゴルと女性たち──介護文学としての『変身』」
  【コラム】生存学セミナー「目の前のアフリカ」  斉藤龍一郎
 2 名指しと名乗りの民族誌   小川さやか
   石田智恵「「日系人」という生き方、日系人の生き方
 3 ナラティヴ・アプローチの可能性   小川さやか
   高橋菜穂子・やまだようこ著
   「児童養護施設における支援モデルの構成──施設と家庭をむすぶ職員の実践に着目して」
  【コラム】自殺をめぐる常識的推論とその帰結──制度としての言語の観点から  藤原信行

第3章 生存をめぐる制度・政策   渡辺克典

 1 倫理/規範と制度
   安部彰『連帯の挨拶──ローティと希望の思想』
 2 情報を保障する
   坂本徳仁・佐藤浩子・渡邉あい子「手話通訳事業の現状と課題──3つの自治体調査から」
 3 生/死と政策
   櫻井悟史『死刑執行人の日本史──歴史社会学からの接近』
  【コラム】あべこべの世界と障害者権利条約──排除のないインクルーシブな社会へ  長瀬修

第4章 生存をめぐる科学・技術   松原洋子

 1 ままならぬ身体からの発信技術
   堀田義太郎「重度障害者用意思伝達装置の開発・供給と政策について」
 2 出生前検査のガバナンス
   利光惠子「新型出生前検査について考える」
 3 原子力技術と生存
   横田陽子「戦後日本における環境放射能調査の経緯とその実像──原子力の導入・利用政策との関連で」
  【コラム】アーカイヴィング  立岩真也

補章 立岩真也

 1 概略の続きと本と賞
   組織のこと/「趣意書」続き/学問か?/「関係者」の本たち/生存学奨励賞
 2 両方・複数がいて考えられる
   なおりたい・そのままでいい/語らなくてすむこと・埋没すること
   しかし取り出され・証すことを求められる/わけを知る、ことがもたらすこと
   孤立が悪いわけではないが、そうもいかない時
 3 穴があいているので埋める・塊を作る
   ケア場/政策系/測り指定することについて再度
   指定し難く代行者に権限が行く場/福祉労働についても
 4 言葉にしていくこと
   日常を言葉にする&言葉でない世界を言葉にするのは難しい、が/一つ見つけてくること/人と人たち
   組織・運動/最後に 例:「精神」な人たち