「中産階級」の老いこそがこの国の老いをめぐる政策と歴史を形成してきた
老いを治める
老いをめぐる政策と歴史
戦後日本社会における老いをめぐる政策と歴史とは、未曾有の「高齢化」とともに高齢者が「少数派の中の多数派」「マイナーの中のメジャー」となっていく歴史的ダイナミズムによって形成されてきたのである。もっと平たく言えば、戦後においてメジャー化していった「中産階級」の老いこそがこの国の老いをめぐる政策と歴史を形作ってきたのである。そして、そのことがこの国における老いを治めることを可能にしているのである。本書はそのこと(だけ)を記したのである。
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【目次】
はじめに 北村健太郎・堀田義太郎
第1部 老いをめぐる政策と歴史
第1章 渋谷光美 在宅介護福祉労働はいかに担われてきたのか
──1950年代後半~1980年代の家庭奉仕員による労働実践を中心に
第2章 牧昌子 1980年代以降の高齢者に対する税制改正を伴った医療制度改革の現在
第3章 天田城介 老いをめぐる政策と歴史
第4章 天田城介 戦後日本社会における医療国家の経済学
第2部 老いをめぐる政策と歴史の周辺で
第5章 田島明子 日本のリハビリテーション学における「QOL」の検討
──主観/客観を超えたリハビリテーション学の足場を求めて
第6章 有吉玲子 人工腎臓で生きる人々の運動と結実──生きるための新たな制度の創出
第7章 北村健太郎 1970年代の血友病者たちの患者運動と制度展開
──公費負担獲得と自己注射公認に至る経緯
第8章 堀田義太郎 介護の社会化論とリベラリズム──ケアの分配論と分業
第9章 天田城介 家族の余剰と保障の残余への勾留──戦後における老いをめぐる家族と政策の(非)生産
第3部 老いを治めるということ
第10章 天田城介 「脆弱な生」の統治──統治論の高齢者介護への「応用」をめぐる困難
第11章 天田城介 折り重なる悲鳴──我々は生きるがために家族と暮らす/家族と離れる
第12章 天田城介 〈ジェネレーション〉を思想化する──〈世代間の争い〉を引き受けて問うこと
第13章 天田城介 日付と場所を刻印する社会を思考する
第14章 天田城介 底に触れている者たちは声を失い、声を与える
おわりに 天田城介 老いを治める──老いをめぐる政策と歴史
あとがき 天田城介