これからの自動車利用のあり方を見通すための「手がかり」とは……
自動車 カーシェアリングと自動運転という未来
脱自動車保有・脱運転免許のシステムへ
「自動車保有」に対して、大きな転換を示唆するカーシェアリングと、
「運転免許制度」を転換させる可能性としての「自動運転技術」。
この時代にカーシェアリングから学べることと、
自動運転に期待されることを詳述し、自動車の未来を展望する。
巻末に、立岩真也さんによる解題「この本はまず実用的な本で、そして正統な社会科学の本だ」を付す。
【目次】
はじめに──この本に書いてあること
コラム この本の土台にある考え方の手がかり
第1部 カーシェアリングとは──脱自動車保有のかたち
第1章 カーシェアリングの誕生と普及
1-1 カーシェアリングの歴史(誕生)
1-2 普及の状況
1-2-1 普及の状況(世界)
1-2-2 国内のカーシェアリングの歴史
1-2-3 国内のカーシェアリングの現状とその評価
1-3 カーシェアリングの運用方式について(デファクトスタンダードの成立)
1-3-1 カーシェアリングのしくみ
1-3-2 事業主体の実態の分類
1-3-3 カーシェアリングの利用方法
1-3-4 料金体系と貸出時間単位
1-3-5 保険等固定的な費用
1-3-6 カーシェアリングの運用方式(デファクトスタンダード)
1-4 カーシェアリング以前の共同利用
1-4-1 個人による共同保有
1-4-2 レンタカー
1-4-3 社会実験段階でのカーシェアリング
第2章 カーシェアリングの利用実態について
2-1 京都市における経過と現状
2-2 京都市におけるカーシェアリングの評価
2-3 検証の方法と基礎数値
2-4 カーステーションの配置状況
2-5 カーシェアリングの利用実態
2-5-1 利用距離
2-5-2 利用時間
2-5-3 利用開始時刻
2-5-4 利用頻度
2-5-5 利用目的
2-5-6 鉄道、バス等を含めた利用の状況
2-6 利用実態のまとめ
2-7 カーシェアリングの地域性
2-8 他の調査の利用実態との整合
2-9 多様な利用実態が要求するカーシェアリングの運用形態
第3章 カーシェアリングの普及要因
3-1 自動車利用の新しい選択肢となりうるサービスレベルの確立
3-2 カーシェアリングサービスを実現したICT技術
3-3 カーシェアリングサービスを実現した制度
3-4 カーシェアリングの普及要因のまとめ
第2部 自家用車というしくみの発生
第2部のはじめに
1 第2部の方法
2 先行研究
第1章 自動車保有と運転免許
1-1 運転免許保有者数と自動車保有台数の推移(全国)
1-2 運転免許保有者及び受験者数と自動車保有台数の推移(京都府)
1-3 運転免許受験者数
第2章 事業所と自動車の普及
2-1 事業所の自動車保有状況
2-2 従業員との関係
第3章 レジャーと道路
3-1 ドライブウェイの開通と駐車場の設置
3-2 道路政策と舗装
3-3 高速道路着工の影響、意味
第4章 国産車販売の状況
4-1 当時の時代背景──国民車構想
4-2 当時の国産車──国民車・大衆車
第5章 個人の自動車の利用目的の動向
5-1 需要動向調査の概要
5-2 当時の利用目的
5-3 自動車の利用の始まり
第6章 自動車の利用目的と利用の関係の再考
6-1 「利用目的」と「利用」の関係──自家用車の構図
6-2 カーシェアリングのかたち
6-3 自動車が創りだした「自然」とフレキシビリティの強制
第3部 カーシェアリングがもたらしたもの
第1章 カーシェアリングの効用──カーシェアリングがもたらしたもの
1-1 基本的な方法
1-2 これまでの言われ方とそこに含まれる混乱
1-3 利用者の仮想
1-4 利用者の効用
1-4-1 経費負担
1-4-2 自動車の利用と保有の切り離し
1-4-3 適度な自動車利用を含めたライフスタイルの実現
1-4-4 利用者にとっての自動車走行距離の増減の意味
1-4-5 新たな交通行動の実現
1-5 地域社会への影響
1-5-1 走行距離
1-5-2 自動車移動も含めたバランスのとれた交通行動が行える地域となること
1-5-3 地域の交通基盤としてのカーシェアリング
1-6 カーシェアリングの効用と影響のまとめ
第2章 自動車の機能と効用とカーシェアリング利用
2-1 利用目的への着目──どのように少ない量の自動車利用が残っているのか
2-2 カーシェアリングの最大の利用「レジャー」
2-3 プライベート空間としての自動車利用
2-4 「買物」利用について──荷物運搬装置としての自動車
2-5 カーシェアリングのしくみと利用目的の割合
2-6 カーシェアリングの利用のされ方――効用と考量
2-7 自家用車利用の場合――カーシェアリングとの比較
第3章 カーシェアリングの評価を踏まえた今後の都市交通政策のビジョン──適度な自動車利用との共存
3-1 抑制の効いた自動車利用というありかた
3-1-1 自家用車利用とカーシェアリング利用は大きく性格を異にするものであること
3-1-2 カーシェアリングは利用量に抑制がきくこと
3-1-3 自動車利用はなくせない若しくは0にしなくてよいことの確認
3-1-4 自家用車保有の漫然とした継続の回避
3-1-5 カーシェアリングの適切な評価の困難さ
3-2 自動車の効用を踏まえた今後の都市交通政策のビジョン──適度な自動車利用との共存
3-2-1 カーシェアリングによるいわゆる公共交通と適度な自動車利用との共存
3-2-2 少量の自動車利用をバランスの軸としたライフスタイル
3-2-3 バランスのとれたライフスタイルを目指す姿勢
3-2-4 民間企業運営であるところのカーシェアリングの公共性
第4章 都市交通の新たな手段──いろいろな運用方式のカーシェアリングと可能性
4-1 ワンウェイ型──もう一つの選択肢の追加
4-1-1 ワンウェイ型の国内先行事例(smaco)
4-1-2 欧州の事例(car2go
4-1-3 超小型車両による社会実験(チョイモビ ヨコハマ)
4-1-4 ワンウェイ型の評価
4-2 その他のカーシェアリング
第5章 カーシェアリングを軸とした都市交通政策の提案
5-1 自動車の現状
5-1-1 統計数値からの確認
5-1-2 自動車から離れているのか──利用目的と利用の明確な関係の成立
5-2 具体的な政策の検討
5-2-1 カーシェアリングサービス全般の向上
5-2-2 「レジャー」と「買物」への手当
5-2-3 自動車の機能レベル、スペックの利用時における選択
5-2-4 税制
5-2-5 行動のデザイン
5-2-6 地域全体の計画の中で交通を考えること
5-2-7 自動車の中の公共性
第4部 自動車の効用を組み込んだ交通政策の方法──自動運転に期待されること、危惧されること
第4部のはじめに
なぜ交通政策に自動車利用が組み込めないのか
第1章 自動運転によりもたらされること
1-1 自動車交通事故の大幅な低減
1-2 楽に自動車移動ができるようになること
1-3 移動に困難をともなう者のモビリティの改善
1-4 自動車移動による交通量の増加
第2章 移動に困難をともなう者にとっての自動車利用
2-1 移動に困難をともなう者の移動の状況
2-2 移動に困難をともなう者による自動車利用の状況
2-3 ハードウェアとしての自動車車両の進化と普及
2-4 運転免許制度について考える
2-4-1 運転者の問題
2-4-2 身体障害者等に対する条件付運転免許の保有者数
2-4-3 運転免許制度のパラドクス
第3章 自動運転による弊害
3-1 自動車移動の増加
3-2 自動運転時代の自動車交通量の抑制策
3-2-1 自家用車としないこと
3-2-2 優先順位の設定
3-2-3 利用者の属性と利用目的への着目
第4章 自動車移動を交通政策に組み込むための課題と方法
4-1 アーキテクチャの可能性──コンビニクル
4-2 ポスト自動車移動システムのビジョン
4-3 今後の地域交通のモデル──自動車とマストランジットとの共存
4-4 個別化された異なるミッションの存在
4-5 基礎自治体の動向からの示唆と期待 総合的な政策の観点の必要性
4-6 自動車関連の技術者の方への期待とエール
おわりに
1 この地球における自動車というもの
2 カーシェアリング利用の「雰囲気」
3 大阪万博と高速道路とキャロル
4 自動車に係る言説のサブシステム
5 今までできなかったことができる喜びを得る道具としての自動車
解題 この本はまず実用的な本で、そして正統な社会科学の本だ 立岩真也
あとがき