身体=人間の普遍性を発見し、語るために

身体の社会学のブレークスルー

差異の政治から普遍性の政治へ

後藤吉彦【著】

[定価]   本体2,600円(税別) 

[ISBN]9784903690100
[判型]四六判上製
[頁数]224頁

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身体によって人間が区別され、それにより引き起こされる社会関係とはどのような事象か。フーコー、ドゥルーズ、ターナーらの思考やフェミニズム、障害学・障害者運動を手がかりに、身体と社会の循環的プロセスに注目し、現実の社会に影響を与えうる[身体の社会学]の構築を志向する。先行研究の概念整理を超え、実証的であるよりも実験的であり、現実的であるよりも未来に向けて議論を投じることで、現実にある課題を打ち開く(ブレークスルー)ことを目指す。[身体の社会学]を基軸にした、差異と排除を超えるあらたな社会理論のこころみ。

【目次】


第一部 身体と社会
 
 第一章 身体の社会学──身体の被制約性と能動性をめぐる問い
  はじめに
  一 身体の社会学──成立の経緯
  二 身体の社会学──二つの取り組み
  三 身体の社会学の課題

第二部 人間を分ける身体

 第二章 障害者/健常者カテゴリーの不安定化にむけて
     ──「生物学的基盤主義」とアイデンティティ・ポリティックスへの問い

  はじめに
  一 障害の社会モデル──障害者の無力化に抗して
  二 障害の社会モデルが見落としたこと
  三 健常=普通という「実現不可能な理想」
  四 障害者と“リハビリ”信仰
  五 結びにかえて

 第三章 障害者とポスト近代社会のバイオ・ポリティックス
  はじめに
  一 障害への社会的アプローチとポスト近代社会
  二 日本にみる障害者の身体の統制
  おわりに

 第四章 障害者の自立生活にみる「生存の技法」
  はじめに
  一 フーコーの「生-権力」論と「生存の技法」
  二 障害者と「生存の技法」
  おわりに

第三部 人間をつなぐ身体

 第五章 「境界侵犯する身体」──身体のエージェンシーについての試論
  はじめに
  一 「何かを引き起こす力」をもつ身体
  二 境界侵犯する身体
  三 「境界侵犯する身体」のエージェンシー
  四 結びにかえて
  〈補遺〉「介助者手足論」にみる「サイボーグ身体」

 第六章 普遍性の構築──身体の「傷つきやすさ」を起点として
  はじめに
  一 人間の「傷つきやすさ」と人権
  二 普遍性を阻む問題
  三 「傷つきやすさ」に根ざした普遍性の構築に向けて
  おわりに

エピローグ
あとがき
初出一覧