──「え? 障害のある先生っているんですか?」

障害のある先生たち

「障害」と「教員」が交錯する場所で

羽田野真帆、照山絢子、松波めぐみ【編著】

[定価]   本体2,500円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-075-7
[判型]A5判並製
[頁数]264頁

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見えにくい存在である「障害のある先生」について知るためのきっかけとなること、
「障害のある先生」について知りたいと思ったときに、最初に手にとってもらえる本であること、
そして、「障害のある先生」についてのイメージや語られ方を解きほぐすこと。
「障害を乗り越えて教壇に立つ立派な先生」という固定的観念を相対化し、
「障害のある先生」を多様性に拓く中から「教員という職業」そのものもとらえ返す!

【目次】

刊行に寄せて   清水睦美
はじめに   羽田野真帆

第1章 【本書の背景】「障害のある先生」について研究する──障害教員研究の現在   照山絢子・羽田野真帆・松波めぐみ
 1 はじめに
 2 「障害のある先生」をとりまく状況
 3 「障害のある先生」は何人くらいいるのか?
 4 そもそも「障害のある先生」とは誰のことか?
 5 この研究が論じることができないこと

第2章 【調査の方法】三人で調査をするということ──チームエスノグラフィーの実践   照山絢子
 1 はじめに
 2 チームエスノグラフィーの理論的背景
 3 専門性と身体知
 4 立場性と解釈
 5 成果の発信
 6 むすびにかえて──チームとしてのシナジー

第3章 【語りとアイデンティティ】「障害のある教員」は自分のことをどう語るのか
          ──語りに見る障害教員のアイデンティティ  
 照山絢子
 1 F先生
 2 I先生
 3 H先生
 4 むすび

 [Column]先生たちの集まりに足を運ぶ
      ──セクシュアルマイノリティ教職員ネットワーク(STN)と全国聴覚障害教職員協議会(全聴教)
      照山絢子・松波めぐみ・羽田野真帆

第4章 【職業と役割】教員とはそもそも大変な仕事である─教員としての困難さとディスアビリティ 羽田野真帆
 1 教員という仕事の困難さ
 2 “標準的な身体”を前提とした学校空間が生み出すディスアビリティ
 3 二重の困難さと切り分けにくさ
 4 教員としての「あたりまえ」を問い直す
 5 障害のある先生たちの経験が問いかけること

 [Column]インタビューを通じた教員世界への接近   羽田野真帆

第5章 【制度と社会】障害のある先生の働きにくさは軽減されるのか?
         ──教育現場における「合理的配慮」概念導入の可能性と課題  
 松波めぐみ
 1 はじめに──時代の変わり目に
 2 新しい法律がスタートした
 3 「合理的配慮」とは何か
 4 障害教員たちはどうやって障壁に対処してきたか
 5 法制化による「合理的配慮」概念の導入の影響を考える
 6 おわりに

 [Column]研修行脚の途上で──法が社会に根付く日まで   松波めぐみ

第6章 【教員養成】障害のある学生の教育実習を支援する─インクルーシブな教員養成をめざして 宇内一文
 1 はじめに
 2 視覚障害のある学生の教育実習支援
 3 右上下肢の運動機能障害のある学生の保育・教育実習の支援
 4 インクルーシブな教員養成の方へ

 [Column]障害学生支援の現状と教員養成課程に在籍する学生の支援について   有海順子

第7章 【教員採用】なぜ障害のある先生は少ないのか?──視覚障害のある先生へのインタビュー調査から   中村雅也
 1 なぜ少ないのかを探る──本章の目的
 2 視覚障害者が先生になるまで──インタビュー調査
 3 障害者が先生になることを阻むものは?──教員養成と採用の課題

 [Column]障害のある先生と障害者雇用政策   中村雅也

第8章 【ライフストーリー】全盲教師のライフストーリー──過去を解釈し、未来を展望する  中村雅也
 1 ライフストーリーとは?
 2 楠先生のライフストーリー
 3 多様な障害教師像に向けて

補 論 多様な「障害のある先生」との対話から──公開シンポジウムの報告

おわりに   松波めぐみ
謝辞