「障害学」その日本における固有性とは何か!!

障害学のアイデンティティ

日本における障害者運動の歴史から

堀 智久

[定価]   本体3,000円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-020-7
[判型]A5判上製 
[頁数]224頁

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〈反優生思想〉の視座をキー概念として汲み取った、
日本の障害者解放運動に根差した「解放の理論」としての「障害学」。
障害の「社会モデル」が提示した視座をも批判的に乗り越え、
「障害学」の新たな理論形成の道をひらこうとする意欲作、ここに誕生。

【目次】


まえがき

序章 本研究の課題
 1 本研究の目的
 2 障害者運動の史的概観
 3 本研究の対象
   4 本研究の見取り図

第1章 〈反優生思想〉の視座の障害学
 1 はじめに
 2 障害者解放運動における専門家批判
 3 障害者解放運動における親批判
 4 おわりに

第1部 戦前の教育保護構想と戦後の具現化──戦時期から高度経済成長期へ

第2章 教育心理学者・実践者の教育保護改革──精神薄弱教育の戦時・戦後占領期
 1 はじめに
 2 精神薄弱児の放置
 3 戦時期の教育保護改革運動と精神薄弱児の社会生活能力への着目
 4 戦後占領期の教育改革と生活主義教育の展開
 5 おわりに

第3章 重症児の親の運動と施設拡充の政策論理──精神薄弱福祉の高度経済成長期
 1 はじめに
 2 重症児の存在とその処遇の社会問題化
 3 重症児の親の運動の展開
 4 「親の心構え」の強調
 5 収容施設拡充の政策論理
 6 おわりに

第2部 障害児者の視点に立つ運動へ──1970年代以降

第4章 日本臨床心理学会における反専門職主義(1)──専門職であることを超えて
 1 はじめに
 2 臨床心理士資格の制定に向けた取り組み──1960年代
 3 学会改革運動の開始──1970年代(1)
 4 心理テスト批判──1970年代(2)
 5 心理治療批判──1970年代(3)
 6 おわりに

第5章 日本臨床心理学会における反専門職主義(2)──専門性の限定的な肯定あるいは資格の重視へ
 1 はじめに
 2 心理職集団の専門職化──1960年代
 3 専門職であることの否定──1970年代
 4 専門性の限定的な肯定──1980年代(1)
 5 資格の重視──1980年代(2)
 6 おわりに

第6章 先天性四肢障害児父母の会における障害認識の変容(1)──「子どものありのまま」を認める運動へ
 1 はじめに
 2 先天性四肢障害児父母の会の結成
 3 家族/科学(原因究明)への期待──1970年代
 4 当事者(親・子ども)/日常生活への立脚──1980年代
 5 おわりに

第7章 先天性四肢障害児父母の会における障害認識の変容(2)──優生思想と向き合う
 1 はじめに
 2 「被害という把握」のもつ効果と親たちのこだわり──1970年代
 3 障害をもつ子どもの視点に立つ──1980年代(1)
 4 子どもの不在──1980年代(2)
 5 おわりに

終章 全体的考察
 1 優生学史における〈反優生思想〉の視座
 2 「戦後思想」としての障害の「社会モデル」
 3 「1970年代以降の思想」としての〈反優生思想〉の視座
 4 「障害学」とは何か

引用文献
あとがき