続いてさえいれば、今日もあの人やこの人との明日が育まれる可能性が残されている。
ケアと支援と「社会」の発見
個のむこうにあるもの
続いてさえいれば、今日もあの人やこの人との明日が育まれる可能性が残されている。
人と人とが直接的に対峙し、向き合う、ケアや支援の現場。今日もまた、法制度や個々人の行為の限界を、掻い潜り、乗り越え、換骨奪胎するため、現場の人たちはミクロな「社会」を発見し、制度を新たに創り、そして明日を目指す。
【目次】
はじめに
第1章 〈場〉の力――ケア行為という発想を超えて
1 〈場〉という発想
2 〈場〉の力の素描
3 〈場〉の力の定義
4 ケア行為という発想の限界
5 〈場〉にケア提供者はどう働きかけるのか
6 ケア行為という発想を超えて
▼支援の現場を訪ねて①
お年寄りの方が、懐も深いし、したたかですよ――エフ・エーさろん
▼支援の現場を訪ねて②
にぎやかさ、明るさと、それを支えるものと――すまいる・ほっとすまいる
▼支援の現場を尋ねて③
おたっしゃで――フェリスモンテ
第2章 「優位に立つ」関係を弱める――支援か虐待かという問いの先へ
1 虐待防止というけれど
2 虐待は文脈に依存する(1)――行為の意味
3 虐待は文脈に依存する(2)――「優位に立つ」とは何か
4 虐待を防止するとはどのようなことか
5 「優位に立つ」関係を弱める
6 かかわり続けるなかで
7 クリーンさを目指すのではなく、場のセッティングを変える
▼支援の現場を訪ねて④
ちょっと変わったリサイクルショップ――ちいろばの家
▼支援の現場を訪ねて⑤
美味しいものいっぱいですよ――あしたや共働企画
▼支援の現場を訪ねて⑥
特にイジられている人がスタッフです――えるぶ
第3章 出会うということ――足湯ボランティアと被災者のつぶやきからみる素人の力
1 「何ができたか」よりも「どのように出会ったのか」
2 足湯ボランティアと書き取られたつぶやき
3 足湯を受けるということ――大切にされる場
4 「全部流された」「全部もうダメだ」――絶望と、それでも立ち上がる姿と
5 ボランティアの聴き方――被災者の問いかけ
6 寄り添う他者に気づく――被災者の孤独
7 そこに自分を思う他者がいる
▼支援の現場を訪ねて⑦
最後のひとりまで――被災地NGO恊働センター
▼支援の現場を訪ねて⑧
サービスとしてではなく
――法政大学多摩キャンパス・旧ボランティアセンター/館ヶ丘団地ふらっと相談室・ふらっとカフェ
▼支援の現場を訪ねて⑨
関係のただなかで――シャロームいしのまき
第4章 専門職と「ともに生きる」立場と――上田敏と障害者運動の対比からみえる異なるケア提供者像
1 上田敏をちゃんと読もう!
2 上田のいうリハビリテーション医学
3 上田と社会モデルの共通性
4 専門職としての倫理
5 社会モデルの潜勢力――「ともに生きる」
6 専門職であることと、「ともに生きる」との緊張関係
7 リハビリテーション論と障害学の対話に向けて
▼支援の現場を訪ねて⑩
モノは使いよう!――むつき庵
▼支援の現場を訪ねて⑪
一人ひとりの弱い人たちが――要を支える会
▼支援の現場を訪ねて⑫
仕事でなく生業として――トータルサポートたいとう
▼支援の現場を訪ねて⑬
ごたまぜで生きる――ウイズタイム/ウイズタイムハウス
補遺 あのころの私に
1 「この程度なんだ」
2 分断と世代と
3 白と黒とで分けられない
4 降りた痕跡
5 支援の現場で
おわりに
あとがき(謝辞)
初出一覧
文献