知的障害者は「大きな子ども」でいつづけなければならないのか?
知的障害者と自立
青年期・成人期におけるライフコースのために

親亡き後の不安払拭のためにのみ語られ、
知的障害当事者が「大人になる」ことを視野に入れてこれなかった従来の自立論。
知的障害者その人を「大人になりゆく人」として捉え、
経験しうる出来事を排除しない青年期・成人期のあり方を探るために、
他者によるケアとサポートの必要性、原家族からの離脱、セクシュアリティと結婚の三つの側面から整理。
暗黙のうちに人々が想定している知的障害者の自立論の限界を明らかにし、
新たなライフコースの可能性を提示する注目の論考。
【目次】
はじめに
序
第1章 課題の設定と分析視角
1 知的障害の定義とライフサイクルの特徴
2 障害者の自立論
3 障害の社会モデル
4 ライフコース視点による分析視角
第2章 「子」としての知的障害者──ライフコース視点からみる親の自立観
1 障害者の自立と親
2 調査の概要(2008年調査)
3 子の自立に関する意識
4 親が子の自立として捉えているもの
5 ライフコース視点からみた親の自立観
第3章 「利用者」としての知的障害者──ライフコース視点からみる支援者の自立観
1 なぜ支援者の自立観か
2 支援者が利用者の自立として捉えているもの(2008年調査)
3 支援者が捉える利用者の離家と家族形成(2011年調査)
4 ライフコースの視点からみた支援者の自立観
第4章 当事者の自立観──ライフコースの視点から
1 知的障害のある当事者の主観を問うこと
2 当事者の語りにみる自立(2009年調査)
3 当事者にとっての離家と家族形成(2011年調査)
4 ライフコース視点からみた当事者の自立観
終 章 知的障害者のライフコースと自立
1 青年期・成人期における知的障害者のライフコース
2 自立観が内面化する構造とプロセス
3 結語と今後の課題
あとがき
文献