炙りだされているのは、それ以前から私たちの社会にあった矛盾や分断。

コロナ禍で障害のある子をもつ親たちが体験していること

児玉真美【編著】

[定価]   本体1,800円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-143-3 0036
[判型]46判並製
[頁数]232頁

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炙りだされているのは、それ以前から私たちの社会にあった矛盾や分断。
コロナ禍で障害のある子をもつ親たちは何を体験し、何を思い、何を感じてきたのか……。
「こんな時だから仕方がない」と置き去りにされないために――。
ささやかな抗いとして、7人の親たちが語る。

【目次】


はじめに  児玉真美

第1章 「ほなって、しょうがないでぇなぁ」で、本当にいいの?
     ――地方で知的障害のある子とコロナ禍を生きる私たち  福井公子

 もう二年/自由になれない/始まり/アンケートから/マスクがつけられない/不要不急ってなんだろう/
 行政への要望/「読者の手紙」への投稿/パイオニア世代/ついに来たか!/見えない存在

第2章 医療的ケアとともにある生活を脅かすコロナ禍  根本希美子
 コロナ禍になって/侑弥の誕生――医療的ケアとともにある生活のはじまり/
 できないことを支える医療的ケア/NICUから親子で過ごすおうちへ/かけはしねっとの立ち上げ/
 医療的ケア児と家族を支援する法律ができました/おわりに

第3章 コロナも予測不能!  重度自閉症のたっくんも予測不能!!  たっくんママ
 きょうだいはヤングケアラー?/自閉症と診断/希望が見えない日々/
 新型コロナで生活はめちゃくちゃに/新生活がスタート

 ■コラム オミクロン株でまた生活は大混乱

第4章 障がいも性格もさまざま 三きょうだいの母は黙っていられない  浅野美子
 わが家の状況/コロナ禍と三きょうだい/平時でも厳しい緊急時の支援/
 コロナ禍という特殊な状況の中で/親子三人での感染/よかねっとあいちアンケート・交流会で出た声/
 障害児者の感染者数はカウントがされていない!

第5章 コロナ禍で娘の入院に付き添って  madoka
 はじめに/娘のこと――コロナ以前/コロナ禍での手術/病室での付き添い/
 付き添い入院の現状その背景/付き添う親への支援に望むこと

 ■コラム コロナ禍のきょうだい児

第6章 家族依存の福祉とコロナ禍――仲間と親たちの体験と運動から  新井たかね
 コロナ禍で緊急入院した娘の体験から/コロナ病棟に入院した二人の女性の体験から/
 「コロナ禍による障害者と家族への影響調査」(二〇二〇年七月~一一月)から/
 「入所施設を削減し地域移行を進める」という国の方針のなかで/
 「だれと、どこでくらすのか」を選択できる多様な暮らしの場を求めて/
 かけがえのない人生を応援する福祉労働の地位の向上を――障害者・家族の切実な願い/おわりに

第7章 コロナ禍に炙り出されてきたもの  児玉真美
 「こんな時だから仕方がない」という思考停止/医療と福祉の家族依存/
 コロナ禍以前から追い詰められていた親たち/「迷惑な患者」問題/英国メンキャップのキャンペーン/
 もし海が感染したら……/英国では知的障害のある人たちの死亡率は一般の四倍/
 必要なのは「合理的配慮」/現場の看護師の声/人権の問題としての外出禁止と面会制限/
 なぜ親だけがゼロリスクを求められるの……?/守る会のアンケートから/
 全国遷延性意識障害者・家族の会のアンケートから/重症児者施設へのアンケートから/
 家族はケアにおける不可欠なパートナー/「命を守るために」と心が殺されていく……/
 家族への真逆の扱いが意味するもの/障害のある人と家族から関係性を剥奪する無関心

見捨てられた体験を未来に差し出す――本書に寄せて  猪瀬浩平

おわりに  児玉真美