ふすまが開き、彼は部屋から出て来ました。
両親から相談を受けて七年の歳月が経っていました…。

ふすまのむこうがわ

ひきこもる彼と私のものがたり

芦沢茂喜【著】

[定価]   本体2,000円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-132-7 0036
[判型]A5判並製
[頁数]216頁

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それぞれがそれぞれの想いを持ちながら、お互いに想いを伝え、受け止め合うことができず、関係が切れてしまったケンジさんと父、母、弟。
そして、そんな家族に関わるようになった私。
今、書くことができる、ひきこもり支援の中身を全て書ききった渾身の書。それでも、「ひきこもりでいいみたい」!

【目次】


はじめに

第1章 事例の背景

第2章 家族が変われば、本人が変わる
 自分自身を責める母と本人を責める父
 母が話す「変わりません」の基準
 「嫌なことをして困らせる」と「喜ぶことをして動かす」
 通信手段としてのスマホ
 医師のアドバイスと行動できない自分自身を責める母
 異動後も相談の継続を望む父母

第3章 家族からの相談への対応
 はじめの一歩
 悩みは持ち続ける
 これまでの相談状況を確認する
 困っている内容を明確にする
 家庭内のパターンを理解する
 家族が話す言葉の基準を確認する
 家族の想いと本人の受け止め
 相談を受ける時の立ち位置
 自己責任という考え
 生理的欲求と安全欲求の充足
 本人の利益を考える
 外部との通信手段を考える
 本人を取り巻く環境の変化
 ひきこもる理由は分からないというスタンス
 事実のみが書かれた手紙/相談の中断を防ぐ

第4章 私が変われば、本人が変わる
 声をかけられない私
 私がしていることを紹介する
 音楽を流し、ゲームをする
 漫画本を持って行く
 スイーツと紅茶
 父母が本人に声をかける
 逃げたい気持ちと通い続けるとの想い
 祖母の介護
 私を通した話をする
 父の病気
 父の死亡
 法事後の手続き

第5章 訪問について
 訪問前の準備
 訪問時にすること
 初回訪問で本人に伝えること
 どのように話すか
 私を理解してもらう努力をする
 本人との間の話題を探す
 困っているのは誰なのか?
 変わらない状態が続いていることが変わっている
 本人の話を、私を経由して戻していく
 本人を取り巻く環境の変化を考える

第6章 本人が変われば、家族が変わる
 選択肢の間を左右に揺れる想い
 生活状況を確認する
 生活の安定とは裏腹に、膨らみ続ける不安
 心療内科を受診
 携帯の解約
 家族と会うか否かで悩む
 母と会う

第7章 本人との面談について
 本人と会えた時にどうするか?
 座る位置について
 本人から話される内容について
 根拠のない「大丈夫」
 家族の話す内容と現実の乖離
 本人が部屋でしていること
 提案する
 止まっていた時間が動き始めると、不安が増す
 族との和解

おわりに

あとがきにかえて――それでも、「ひきこもりでいいみたい」

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