保育士のケアとは、そもそも何なのか

保育のケアワーク 保育のソーシャルワーク

児童相談所一時保護所・保育所・スクールソーシャルワーク・子どもの居場所づくりの実践から

初谷千鶴子

[定価]   本体2,500円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-189-1 0036
[判型]A5判並製
[頁数]256頁

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ケアワーカーでありながらも同時にソーシャルワーク実践が求められる保育士。30有余年におよび様々な場所で保育士としてケアワークを積み重ねてきた筆者が、その豊富な実践知をもとに、保育士の専門性、求められる資質、今後の方向性について具体的な事例を通して詳説。今、保育の現場にいる人たち、保育士を目指す学びの場にいる人たち、そして子どもたちの今と未来を守ろうとするすべての人たちへのエール。

【目次】


はじめに

序章 保育士のケアワークとは何か――そのケアの諸相
 1 保育のケアと保育のソーシャルワーク
 2 保育士養成課程から考えること
 3 先行文献からケアについて考える
 4 法令から保育士のケアについて考える
 5 社会的養護施設・保育所における保育士のケアとは何か

第1部 保育士のケアワークを考える――社会的養護を中心に

第1章 児童相談所一時保護所における保育の実践
 1 児童相談所一時保護所とは
 2 一時保護所のチャイルドケアワークとは何か
 3 一時保護所保育士のエデュケアとは何か
 4 一時保護所保育士のケアとは何か

第2章 「有期(勇気)保育理論」の生成と「幼児支援の基本」の理論化
 1 幼児支援の基本を探るための準備
 2 有期(勇気)保育理論と実践現場における「有期(勇気)保育理論に基づく支援の基本」の作成と活用について
 3 一時保護所保育士への活用の結果
 4 ルールと日課について
 5 「有期(勇気)保育理論に基づく支援の基本」活用にあたって
 6 有期(勇気)保育理論に基づく幼児支援の基本「振り返りスケール」
 7 まとめ――社会的養護における保育の実践を考える

第3章 具体的実践としての取り組み「だいじょうぶのえほん」
 1 なぜ絵本?
 2 絵本作成のための手順
 3 期待される効果
 4 まとめ――「だいじょうぶのえほん」と一時保護所の子どものケア

第2部 困難な状況に置かれている子どもたちとケア

第1章 子どもの虐待と保育士の関わり――保育所を中心に
 1 子ども虐待への対応
 2 虐待対応・連携を行う関係機関
 3 園内研修の必要性――子ども虐待への予防・早期発見・通告・支援から連携までの流れを速やかに行うために
 4 子どもの虐待と保育士のケアワーク――保育所における保育士の対応 1.子ども虐待への対応

第2章 子どもの貧困と保育士のケアワーク
 1 貧困とは
 2 子どもの貧困への気づきの大切さ
 3 子どもの貧困と保育士のケア――保育所におけるケアと関わりの視点

第3章 ヤングケアラー――子ども家庭福祉の視点から見るヤングケアラーの抱える課題
 1 日本におけるヤングケアラーの実態
 2 ヤングケアラーの思い――4つの事例より
 3 事例から見える課題
 4 子ども家庭福祉の視点からから見るヤングケアラー
 5 ヤングケアラーと子どもの権利
 6 チェックシートを活用した共通理解
 7 ヤングケアラーのケアの視点

第4章 困難を抱える子どもの居場所づくり――社会的養護と地域のはざまで揺れる高校生を通して
 1 子ども家庭福祉における背景――子どもの居場所・子どもの居場所づくりとは
 2 子どもの居場所すまいるじょいとは
 3 具体的な実践事例
 4 事例から見えてきた課題
 5 居場所づくりの視点とケアの視点

第5章 スクールソーシャルワーカーから見えてきたこと
 1 高校におけるスクールソーシャルワーク実践から見えてきた課題
 2 実践の背景
 3 具体的な実践事例
 4 複合的な生活課題のなかで一時保護に揺れる事例
 5 考察――高校におけるSSW実践から見えてきた課題
 6 事例に対するソーシャルワークとケアワークの視点

第3部 支援につなげるために――養成校における実践と社会的取り組み

第1章 学生に伝えたいこと
 1 実習における学生の不安――実習前不安の軽減に資する事前指導
 2 保育のケアを学ぶ実習

第2章 社会に伝えたいこと
 1 貧困の早期発見のためのチェックリスト
 2 チェックシートの使用・活用の実践から見えてきたこと
 3 支援につなげるためのケアについて

終章 保育士のケアワークその意味と意義――専門職としての子どものケアを考える
 1 保育士のケアワークの特質
 2 若干の考察
 3 まとめ

初出一覧
おわりに――二つの悔いを超えて
巻末付録 だいじょうぶのえほん 第2巻