社会的養護における「家庭的支援」「家族的支援」とはどういうものなのか?

子どもたちが望む「家庭的支援」

児童自立支援施設の職員と子ども調査から

野田正人・相澤 仁・岩田美香・板倉香子【編著】

[定価]   本体2,500円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-161-7
[判型]A5判並製
[頁数]240頁

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実親以外による子どもへのケアが家族になぞられることの問題を認識しつつ、家族援助の象徴ともいえる夫婦制による支援を展開してきた児童自立支援施設での実践から、「家庭的」と言われる支援の今を検証・分析する。

【目次】


序 児童自立支援施設と家庭的支援  岩田美香・野田正人
 1.家庭的支援を検討すること
 2.児童自立支援施設の特徴と研究の意義
 3.本書の構成と用いる調査について

第1章 職員と子どもからみた家庭的支援  板倉香子
 1.はじめに
 2.子どもとの関わり――子どもを尊重する支援
 3.子どもに目をかけ手をかける支援
 4.施設の雰囲気づくり――環境を整えて迎えること
 5.まとめにかえて――専門的支援としての「家庭的支援」

コラム1 家庭的支援について考え、思いついたこと  熊澤 健

第2章 施設における職員の特徴からみた家庭的支援  福間麻紀
 1.はじめに
 2.職員の役割の違いからみた家庭的支援――直接支援職員とそれ以外の職員の意識
 3.配属・就職動機別の違いからみた職員の全体的特徴と「小舎夫婦制」についての意識
 4.配属・就職動機の違いからみた家庭的支援――希望しての配属(就職)と希望ではない配属(就職)
 5.職員の特徴からみる家庭的支援とは

第3章 子どもからみた児童自立支援施設での生活  新藤こずえ
 1.はじめに――子どもの声は聴かれているか
 2.子どもの基本的属性と入所前の生活経験
 3.子どもにとっての施設での生活のしやすさ
 4.子どもの望む支援は行われているか
 5.家庭的支援は行われているか――子どもと職員の意識の比較
 6.まとめにかえて――子どもの視点から出発するために

コラム2 月日の流れの中で、子どもたちから学んだこと  梶原 敦

第4章 施設形態の違いからみた家庭的支援  相澤 仁
 1.支援形態の違いによる子どもの生活のしやすさ・しづらさについて
 2.支援形態の違いによる子どもへの生活支援状況について
 3.支援形態別の家庭的な生活支援状況について
 4.支援形態別からみた自立支援について
 5.家庭的な支援のための支援形態のあり方について――調査結果を踏まえて

第5章 ジェンダーと家族からみた家庭的支援  栗田克実・岩田美香
 1.はじめに
 2.支援者におけるジェンダーバイアス
 3.子どもたちからみた支援の評価
 4.「家庭的」と支援

終章 家庭的支援をめぐって  野田正人・相澤 仁・岩田美香・板倉香子
 1.本研究についての感想や意見
 2.調査結果から出てきた要因について

補論 消えゆく「夫婦小舎制」にこだわって  家村昭矩
 1.はじめに
 2.用語の混在
 3.寮舎の運営形態
 4.「小舎夫婦制」の由来
 5.「小舎制」の提唱
 6.「家族舎制」と「夫婦小舎制」
 7.夫婦制論争と勤務改善
 8.「夫婦制」へのこだわりと青木延春
 9.「夫婦小舎制」の再評価
 10.「夫婦小舎制」展望
 11.おわりに

おわりに――保護的・補償的体験を視点にして  相澤 仁