なぜ、また、どのように、精神障害者がグローバルな規模で連帯し、世界組織として活動してきたのか。
精神障害者のグローバルな草の根運動
連帯の中の多様性
おかれている状況もそれに対する主張も異なる精神障害者が、どのように出会いどのように連帯し、一つの組織の中で活動してきたのか。
世界精神医療ユーザー、サバイバーネットワーク(World Network of Users and Survivors of Psychiatry: WNUSP)を主な対象として、
その歴史を詳細に追った労作。
【目次】
第1章 はじめに
1 本書の目的
2 研究の対象
3 用語について
4 先行研究の検討
4-1 精神障害を治療、管理する実践についての先行研究
4-2 障害学の分野の先行研究
4-3 精神障害者の社会運動を対象とした先行研究
4-4 グローバルな規模の社会運動に関する先行研究
4-5 消費者主義の運動の先行研究
5 研究の方法
6 インタビュイーについて
第2章 世界組織の発足
1 はじめに
2 世界精神保健連盟(WFMH)の発足
3 国連原則の採択に向けた動き
4 米国における精神医療改革運動(一九六〇年代〜八〇年代)
5 米国における精神障害者の運動(一九七〇年代〜九〇年代)
6 世界組織発足前の精神障害者の動き
7 精神障害者の世界組織の発足
8 小括
第3章 欧州の組織の発足
1 はじめに
2 各地の運動
2-1 英国における精神医療改革運動
2-2 イタリア
2-3 オランダ
2-4 英国における精神障害者だけの組織の発足
2-5 ドイツ
2-6 北欧
2-7 南欧
3 欧州のネットワークの発足に向けた準備
4 第1回総会
5 メンバーの経験
6 小括
6-1 どこで出会ったのか
6-2 どのように連帯したのか
第4章 組織の名称をめぐる議論
1 はじめに
2 世界組織における名称に対する批判
2-1 第1回総会
2-2 第2回総会
3 欧州の組織における名称決定
4 欧州の組織における名称変更
4-1 第2回総会
4-2 「私たち自身の私たちの理解」セミナー
4-3 ニュースレターにおける議論
4-4 第3回総会
5 世界組織における名称変更
5-1 第3回総会
5-2 第4回総会
6 小括
第5章 精神医療のユーザー、サバイバーは精神障害者か
1 はじめに
2 「私たち自身の私たちの理解」セミナー
3 理事の会議
4 欧州及び国際的な障害者運動
5 第3回総会における議論
6 欧州障害フォーラム加盟後
7 小括
第6章 東欧地域における欧州のネットワークの活動
1 はじめに
2 東欧各地における欧州規模の運動の前史
3 第2回総会
4 ハムレットトラストとの協力
5 第3回総会
6 東欧地域の活動の活発化と欧州デスクの資金難
7 小括
第7章 対立したままでの連帯
1 はじめに
2 国際障害基金
3 第5回総会
4 完全な独立に向けた動き
5 事務局の設置
6 第1回総会に向けた準備
7 第1回(第6回)総会
8 小括
第8章 アジア、アフリカ、中南米地域からの参加
1 はじめに
2 グローバルメンタルヘルスの運動
3 ENUSPとWNUSPの協力
3-1 第4回ENUSP総会の準備
3-2 第4回ENUSP総会
4 第1回総会以降のWNUSPの活動
5 障害者権利条約の策定開始
6 LAPの助成金獲得と総会準備
7 二〇〇四年、ENUSP、WNUSP合同総会
8 小括
第9章 おわりに
1 各章のまとめ
2 結論
3 本書の意義と今後の課題
3-1 意義
3-2 今後の課題
あとがき
文献