出自を知りたい子どもと匿名性を守りたい親――その「対立」は必然なのか…
出自とは、親子とは
知りたい子どもと匿名でありたい親
AID(非配偶者間人工授精)や「こうのとりのゆりかご」などで問題となっている子どもの出自を知る権利と親の匿名性。そのいずれをも尊重する道はあるのか?
当事者である”親”と”子”を「対立するもの」としてではなく、”親子の縁の喪失”という共通の経験を有し、ともに生きていくことができる者として捉える視点から、出自を知る権利と親の匿名性に関する議論に一石を投じる必読の書。
【目次】
はじめに
1 AIDで生まれた人の出自を知る権利
2 「こうのとりのゆりかご」に預けられる子どもの出自を知る権利
3 匿名性の意義
(1)AIDの場合
(2)「こうのとりのゆりかご」の場合
4 研究課題の設定
(1)研究の目的
(2)研究方法
(3)研究対象者
①研究対象者(A) ②研究対象者(B)
5 本研究の特徴と意義
6 本論文の構成
第1章 何を知りたいのか――出自を知らない子どもが求める情報とは
1 文献より
2 アンケート・インタビュー調査より
(1)調査の概要
①目的 ②対象者 ③調査手順
(2)結果
①AID出生者への調査
ⅰ 鳰灯子さん(仮名)/ⅱ 木野恵美さん(仮名)/ⅲ 大羽弥生さん(仮名)
ⅳ 若草ひとみさん(仮名)
②AIDで生まれたということ以外で親を知らずに育った人への調査
ⅰ 〈特別養子〉長谷部さちこさん/ⅱ 〈幼少期に両親離婚〉スズキタロウさん(仮名)
ⅲ 〈置き去り/特別養子〉Y・Fさん(仮名)/ⅳ 〈置き去り/養子〉常盤圭伽さん(仮名)
ⅴ 〈幼少期に両親離婚〉A・Zさん(仮名)
(3)参考:アクロスジャパン小川多鶴さん
3 調査のまとめと考察
(1)集計結果:関心の所在
(2)なぜ知りたいのか、なぜ関心がないのか ①なぜ知りたいのか
②なぜ関心がないのか、なぜ知りたくないのか
(3)何を知りたいのか
①精子ドナーや親を立体的に思い描くために有用なもの
②実生活で必要だと思うことや実生活で役に立つと思うもの
③自己肯定感の向上や「恐れ」の払拭に寄与するのではないかと期待できるもの
4 〝知りたい〟と〝会いたい〟――精子ドナーや親との面会に関する意識
第2章 何を守りたいのか――匿名を希望する親が伝えられることはあるのか
1 アンケート・インタビュー調査より
(1)調査の概要
①目的 ②対象者 ③調査手順
(2)結果
①〈精子ドナー〉M・Nさん(仮名) ②〈精子ドナー〉西園寺優さん(仮名)
③〈精子ドナー〉ゆきのぶさん(仮名) ④〈精子ドナー〉Z・Nさん(仮名)
⑤〈精子ドナー〉尾形太郎さん(仮名) ⑥〈精子ドナー〉H・Nさん(仮名)
⑦〈精子ドナー〉スタリオンさん(仮名) ⑧〈精子ドナー〉N・Wさん(仮名)
⑨〈精子ドナー〉K・Eさん(仮名) ⑩〈精子ドナー〉S・Rさん(仮名)
⑪〈精子ドナー〉D・Tさん(仮名) ⑫〈精子ドナー〉和人さん(仮名)
⑬〈精子ドナー〉K・Iさん(仮名)
(3)参考:アクロスジャパン小川多鶴さん
2 まとめと考察
(1)各情報の開示状況とその意識
①開示に概ね肯定的な傾向がみられたもの ②開示に概ね否定的な傾向がみられたもの
③開示状況やその意識にばらつきがみられたもの
(2)開示している理由と開示できる理由、開示していない理由と開示できない理由
①開示している理由と開示できる理由 ②開示していない理由と開示できない理由
③開示していないが開示に否定的ではないもの
(3)開示できるもの、開示の可能性を広げるもの
①子どもやクライアント(AIDの場合)のために必要であると考えられるもの
②個人特定やトラブルにつながらないと判断できるもの
③開示範囲を広げると考えられるもの
4 子どもとの面会に関する意識
第3章 考察
1 出自を知る権利と匿名性の調和点
2 匿名性を保持しながらも出自を知る権利を尊重する策
(1)精子ドナーの募集選定方法を変更すること
(2)精子ドナーの法的立場を明確化すること
(3)精子ドナーや親と子どもの仲介を行う第三者機関を設置すること
(4)子どもが求めることを精子ドナーや親に知らせること
おわりに
謝辞
付録 1 出自を知る権利/2 「こうのとりのゆりかご」/3 「小さないのちのドア」
寄稿 M・Nさん/鳰灯子さん/スタリオンさん/木野恵美さん
文献・主要参考文献