ことばの かたちを ひとに あわせる社会にしていくために

増補新版 ことばのバリアフリー

情報保障とコミュニケーションの障害学

あべ・やすし【著】

[定価]   本体2,200円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-160-0
[判型]A5判並製
[頁数]288頁

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すべての人に知る権利を保障し、だれもが意見や情報をやりとりできるようにする。だれも社会から排除されないようにする。そのように目標を設定し、いまの現状と課題を整理し、将来の展望をみすえる。
漢字の問題、やさしい日本語についての議論、音声メディアや動画メディアを活用した情報保障についての議論を追加し、「ことばのバリアフリー入門」として、より具体的になった、待望の「増補新版」刊行!

【目次】


はしがき

コラム1 他者と出会う

第1章 「障害ではない」ということ——社会のなかの「ことば」と「からだ」
 1. はじめに
 2. トランスジェンダーからみた「障害」
 3. 「ろう文化宣言」と少数者としての「障害者」
 4. 図書館サービスからみた「障害」
 5. 相対主義からみた「損傷」
 6. ひだりききからみた「障害」
 7. 社会構成主義からみた「障害」
 8. おわりに——「配慮の平等」にむけて
 ただしがき

第2章 言語という障害——知的障害者を排除するもの
 1. はじめに
 2. 言語権という理念
 3. 知的障害と「言語」
 4. 言語学の倫理——ジーニーを実験台にさせたもの
 5. 共生の条件とされる「ことば」
 6. 知的障害者をとりまく社会環境——言語という障害と能力主義
 7. 言語主義からの自由、そして言語権のユニバーサルデザインにむけて
 8. おわりに
 ただしがき

コラム2 だれでも参加できるじゃんけんとは
コラム3 「コミュニケーション障害」ってなんだろう

第3章 「識字」という社会制度——識字問題の障害学(2)
 1. はじめに
 2. 障害学からみた識字問題
 3. 識字問題の再定義——図書館サービスの視点から
 4. 障害者と非識字者のちがい——みえない存在としての非識字者
 5. 高齢者をめぐる識字問題
 6. 読字障害/書字障害(ディスレクシア)のある人の学習環境
 7. おわりに
 ただしがき

第4章 情報保障の論点整理——「いのちをまもる」という視点から
 1. はじめに——目的と問題意識
 2. 五感(感覚モダリティ)と言語形態による整理
 3. 情報保障に必要なこと
 4. 情報保障の対象と対策
 5. おわりに——「あたりまえ」をひっくりかえす
 ただしがき

第5章 言語学習のユニバーサルデザイン
 1. はじめに
 2. 言語をやりとりするチャンネル——聴覚、視覚、触覚
 3. 情報のユニバーサルデザイン
 4. 言語教材のユニバーサルデザイン
 5. 学習環境のユニバーサルデザイン
 6. おわりに
 ただしがき

第6章 言語権/情報保障/コミュニケーション権の論点と課題
 1. はじめに
 2. 言語ってなんだろう
 3. 障害ってなんだろう
 4. 言語権の論点と課題
 5. 情報保障の論点と課題
 6. コミュニケーション権の論点と課題
 7. 生活環境の問題
 8. おわりに
 ただしがき

あとがき

【増補】

第7章 漢字のバリアフリーにむけて
 1. はじめに
 2. 漢字をよむということ——バリアとしての「テレビ型言語」
 3. 漢字をかくということ
 4. 漢字のバリアフリーとは、どうすることか
ただしがき

第8章 ことばのバリアフリーと〈やさしい日本語〉
 1. はじめに——全体像と位置づけ
 2. 『認知症フレンドリー社会』——ATMの問題を例に
 3. 大学という空間の内と外
 4. 中国帰国者にとっての日本語と医療
 5. おわりに——単一言語主義をこえて
 ただしがき

第9章 情報保障における音声・動画メディアの活用をめぐって
 1. はじめに
 2. 情報保障研究におけるテキスト・文書の位置づけと音声・動画メディアの現状
 3. 書きことばがない言語、よみかきが苦手な人にとっての音声・動画メディア
 4. 音声・動画メディアの活用に必要な環境整備とは
 5. おわりに——これからの情報保障研究にもとめられること
 ただしがき

増補新版あとがき
増補新版のための文献案内

初出一覧
参考文献
さくいん