学校教育実施が明記された児童自立支援施設。
どのような教育形態と内容が子どもたちの真の教育保障につながるのか
もうひとつの学校
児童自立支援施設の子どもたちと教育保障
児童福祉法改正(1997年制定)により児童自立支援施設入所児童にも就学義務が施設長に課せられ、学校教育(公教育)の実施が明記された。しかし、改正法施行後、15年を経過するものの、実施率は80.7%である(2012年4月現在)。せっかくの教育保障規定であるにもかかわらず、なかなか進展していない。
従来、福祉職(施設職員)によって生活と教育の両方を担うことがこの施設の大きな特色だったが、改正法施行により正規の教員による学校教育を施設内で展開することになった。どのような教育形態と内容が入所児童の真の教育保障につながるのか、またそのためには、どのように福祉職(施設職員)と教育職(教員)の連携を図ることが必要か、学校教育を担当する教員の執筆を得て、アンケート調査及び聞き取り調査をもとに明らかにする。
【目次】
はじめに 小林英義
第1章 教育保障の史的展開 小林英義
1 児童福祉法による教育
2 法案における教育保障規定
3 第48条をめぐる解釈
4 学科指導論の系譜
第2章 児童福祉法改正とその後の動向 小林英義
1 全国教護院協議会の動向と運動
2 教護院の改正部分とその評価
3 学校教育実施の方策と教育保障
4 児童福祉法改正後の動向
第3章 学校教育実施の実態 小林英義
1 各施設の導入経緯
2 学校教育実施の実態
第4章 現在の学校教育の実施状況
1 北海道家庭学校(森田穣:遠軽町立東小学校・遠軽中学校望の岡分校)
2 宮城県さわらび学園(今野隆:仙台市立人来田小学校・人来田中学校旗立分教室)
3 千葉県生実学校(渡部靖久:千葉市立星久喜小学校・星久喜中学校生実分教室)
4 新潟県新潟学園(小島寛幸:新潟市立内野小学校・内野中学校希望が丘分校)
5 静岡県立三方原学園(山田達夫:浜松市立有玉小学校・積志中学校萩原分校)
6 大分県立二豊学園(合屋貴宏:大分市立竹中小学校分教室・竹中中学校二豊学園分校)
第5章 今後の展望と課題 小林英義
1 学校教員への意識調査
2 施設での聞き取り調査
3 施設の特性を生かした学校教育
4 学校教育実施の現状と課題
5 院内学級から学ぶこと
おわりに 小林英義
資料
学校教育の実施状況(2012年4月現在)
学科指導論の系譜